NSCLCへのICI、抑うつ・不安が効果を減弱か/Nat Med

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/27

 

 抑うつや不安などの精神的苦痛は、がん患者において、抗腫瘍免疫応答を損なう可能性がある。実際に、悪性黒色腫患者を対象とした研究では、精神的苦痛が免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を低下させたことが報告されている1)。そこで、中国・中南大学のYue Zeng氏らの研究グループは、非小細胞肺がん(NSCLC)患者における抑うつ・不安とICIの治療効果の関連を調べた。その結果、治療開始前に抑うつ・不安を有する患者は、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)、奏効率(ORR)が不良であった。本研究結果は、Nature Medicine誌オンライン版2024年5月13日号で報告された。

 研究グループは、NSCLC患者227例を対象とした前向き観察研究(STRESS-LUNG)を実施し、抑うつ・不安とICIによる治療効果の関連を検討した。抑うつと不安は、それぞれPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)、Generalized Anxiety Disorder 7-item(GAD-7)を用いて評価し、PHQ-9スコア5以上またはGAD-7スコア5以上のいずれかを満たす場合、抑うつ・不安ありと定義した。主要評価項目はPFS、副次評価項目はOS、ORRなどとし、抑うつ・不安の有無別に評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・PFS中央値は、治療開始前の抑うつ・不安あり群が7.9ヵ月であったのに対し、抑うつ・不安なし群は15.5ヵ月であり、抑うつ・不安あり群が有意に不良であった(ハザード比[HR]:1.73、95%信頼区間[CI]:1.23~2.43、p=0.002)。
・傾向スコアマッチング法(HR:2.08、95%CI:1.42~3.04、p<0.001)、逆確率重み付け法(HR:1.71、95%CI:1.21~2.42、p=0.002)を用いても、治療開始前の抑うつ・不安あり群はPFSが不良であった。
・多変量解析におけるPFS不良の独立した予測因子は、抑うつ・不安あり(HR:1.63、95%CI:1.15~2.31、p=0.006)、StageIV(同:1.72、1.13~2.63、p=0.012)であった。
・OSは、治療開始前の抑うつ・不安あり群が、抑うつ・不安なし群と比較して不良であり(HR:1.82、95%CI:1.12~2.97、p=0.016)、2年OS率はそれぞれ46.5%、64.9%であった。
・ORRは、治療開始前の抑うつ・不安あり群が46.8%であったのに対し、抑うつ・不安なし群は62.1%であり、抑うつ・不安あり群が有意に低かった(オッズ比:0.54、95%CI:0.32~0.91、p=0.022)。

 本研究結果について、著者らは「進行NSCLC患者において、治療開始前の精神的苦痛がICIの効果を低下させることが示唆され、精神的苦痛を適切に管理することの潜在的な重要性が強調された」とまとめた。

(ケアネット 佐藤 亮)

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