飲料摂取がうつ病に及ぼす影響について、アジア人ではエビデンスが限られている。具体的には、野菜や果物をそのまま摂取することはうつ病の予防につながると報告されているが、野菜や果物をジュースにした場合の情報はほとんどない。さらに、加糖コーヒーとブラックコーヒーの影響の差異を比較した研究も十分ではない。国立精神・神経医療研究センターの成田 瑞氏らは、一般集団における加糖飲料、炭酸飲料、野菜・フルーツジュース、加糖コーヒー・ブラックコーヒー、緑茶の摂取とその後のうつ病との関連を調査した。Clinical Nutrition誌オンライン版2024年4月17日号の報告。
2011~16年に、ベースラインでがん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、うつ病の既往歴がない9万4,873例を対象に、5年間のフォローアップ調査を実施した。うつ病のリスク差(RD)の算出には、ポアソン回帰モデルおよびg-formulaを用いた。多重感度分析も実施した。欠損データの処理には、ランダムフォレストを用いた。相互作用による相対過剰リスクとリスク比を分析することで、性別、年齢、BMIに基づく効果の不均一性を調査した。
主な結果は以下のとおり。
・5年間のフォローアップを完了した8万497例のうち、1万8,172例がうつ病を発症した。
・高摂取群と非摂取群を比較した場合の完全調整後RDは、次のとおりであった。
【加糖飲料】3.6%(95%信頼区間[CI]:2.8~4.3)
【炭酸飲料】3.5%(95%CI:2.1~4.7)
【野菜ジュース】2.3%(95%CI:1.3~3.4)
【果汁100%フルーツジュース】2.4%(95%CI:1.1~3.6)
【加糖コーヒー】2.6%(95%CI:1.9~3.5)
【ブラックコーヒー】-1.7%(95%CI:-2.6~-0.7)
・緑茶は、統計学的に有意な差が認められなかった。
・多重感度分析では、結果は頑健であった。
・性別、年齢、BMIに基づく実質的な効果の不均一性は認められなかった。
著者らは「加糖飲料、炭酸飲料、野菜・フルーツジュース、加糖コーヒーはうつ病リスクを上昇させる可能性がある一方、ブラックコーヒーは低下させる可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)