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国内の患者・市民参画(PPI)に光、「患医ねっと」がMade with Patients Award受賞

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/07

 

 欧州で患者中心の医療・医薬品開発に力を注いでいる組織PFMD、EUPATI、EPFが5月23日(日本時間)に開催したイベント『Patient Engagement Open Forum 2024』において、患医ねっと「くすりと生活プロジェクト」(代表:鈴木 信行氏)が、Made with Patients Awardsのファイナリストとしてノミネートされ、審査員特別賞を受賞した。

 患医ねっとは2011年に鈴木氏が設立し、より良い患者協働の医療環境を目指し、患者と医療者がともにイベントや研修会の開催を通じて、お互いを深く知る場を作ることを目的として活動を行う団体である。生まれつき二分脊椎症を抱え、がんサバイバーでもある鈴木氏は「病気の先にあるその人らしい生活、皆で支えられる社会を求め、『患者と医療者をつなぎ、日本のより良い医療環境を実現させる』理念」を掲げ、医療にかかわる人々をつなげる機会や場を創出している。今回ノミネートされたMade with Patients Awardは、医療における患者参画の優れた模範となる個人や取り組みを表彰するもので、今年は世界中の110もの候補が審査され、日本人として唯一、鈴木氏が団体の代表として審査員特別賞を獲得した。なお、このAwardに「くすりと生活プロジェクト」を推薦したのは、患者中心の医療を共に考え共に実践する協議会(JPPaC)のPCMプロジェクト(PCM-PJ)である。PCM-PJはPFMDの取り組みを日本に紹介することで、患者視点からの患者参画を勧める活動をしている。

 受賞を受け鈴木氏は「くすりと生活プロジェクトは、製薬企業で働く方々が患者さんの日常生活を知り、薬に対する期待を理解し、企業理念の実現に役立てることを目的としています。とても重要な取り組みだと思っています。本団体を多くの人に知ってもらうことで、このような取り組みが世界中に広がることを期待しています。そして、製薬企業が患者さんのより良い生活に役立つ薬やソリューションを開発する環境を整えてくれることを期待しています。これが私の心からの願いです」とメッセージを寄せている。

 世界では臨床試験の計画段階、医薬品などの承認審査の段階での患者・市民参画(PPI:Patient & Public Involvement)が進んでいるのに対し、国内でのPPIは課題が山積みである。日本医療研究開発機構(AMED)は、2022年に実施したPPIに関するアンケート調査ならびにヒアリング調査結果を踏まえ、▽PPI に当たって求められる考え方は「患者のために」ではなく、「患者のために、そして、患者と共に」である、▽PPI において協働を目的としたコミュニケーションに求められているのは、対話であり、説得ではない、▽真の顧客は「患者」(疾患を抱えた人)であり、PPI 活動を企業のイメージ戦略とすることなく、地道ながら、持続可能なあり方、やり方を構築するべきである、などのアイデアをまとめている。このような現状からも、鈴木氏らの受賞の意義は非常に大きいと言えるのではないだろうか。

(ケアネット 土井 舞子)