活動性脳転移を有するHER2+乳がん患者に対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の効果を検討した第II相TUXEDO-1試験において、主要評価項目の頭蓋内奏効率は73.3%と高かったことが報告されている。今回、本試験における無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の最終解析の結果をオーストリア・ウイーン医科大学のRupert Bartsch氏らが報告した。Neuro-Oncology誌オンライン版2024年6月4日号に掲載。
本試験は、2020年7月~2021年7月にトラスツズマブまたはペルツズマブの投与歴のあるHER2+乳がんで新たに診断または進行した活動性脳転移を有する15例(女性14例、男性1例)に対して、T-DXdを3週ごとに投与した。主要評価項目は頭蓋内奏効率、副次評価項目はPFS、OS、安全性、QOL、神経認知機能であった。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値26.5ヵ月の時点で、PFS中央値は21ヵ月(95%信頼区間:13.3~NR)、OS中央値は未到達(同:22.2~NR)であった。
・新たな安全性シグナルはみられなかった。
・Grade3の有害事象で最も多かったのは疲労(20%)、Grade2の間質性肺疾患とGrade3の症候性左室駆出率低下が各1例に認められた。
・QOLは治療期間中維持された。
(ケアネット 金沢 浩子)