HER2+進行乳がん2次治療、T-DXdが脳転移例にも良好な結果(DESTINY-Breast03)/SABCS2021 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2021/12/27 HER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対する2次治療として、脳転移の有無にかかわらずトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し高い有効性を示した。米国・カリフォルニア大学のSara A. Hurvitz氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で第III相DESTINY-Breast03試験のサブグループ解析結果を発表した。 DESTINY-Breast03試験については、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で中間解析結果が発表され、主要評価項目のPFS中央値は、T-Dxd群NR(95%信頼区間[CI]:18.5~NE) vs.T-DM1群6.8ヵ月(95%CI:5.6~8.2)、ハザード比(HR):0.28(95%CI:0.22~0.37、p=7.8×10-22)でT-Dxd群の有意な延長が報告されている。 ・対象:トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2+mBC患者 ・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付け T-DXd群:3週間間隔で5.4mg/kg投与 261例 T-DM1群:3週間間隔で3.6mg/kg投与 263例 ・層別化因子:ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無、治療ライン数(0~1、≧2)、脳転移の有無 ・評価項目: [主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]OS、BICRおよび治験実施医師評価による客観的奏効率(ORR)、BICR評価による奏効期間(DOR)、治験実施医師評価によるPFS、安全性 主な結果は以下のとおり。 ・データカットオフは2021年5月21日、追跡期間中央値は15.9ヵ月。 ・ベースライン時点で、脳転移を有する患者はT-DXd群43例(16.5%)vs. T-DM1群39例(14.8%)だった。 ・ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無、治療ライン数、脳転移の有無別のいずれのサブグループにおいても、T-DM1群と比較してT-DXd群ではPFS中央値とORRが大きく改善していた。 ・ベースライン時点で脳転移を有する症例でのPFS中央値はT-Dxd群15.0ヵ月(95%CI:12.5~22.2) vs.T-DM1群3.0ヵ月(95%CI:2.8~5.8)、HR:0.25(95%CI:0.13~0.45)。脳転移のない症例でのPFS中央値はNE(95%CI:22.2~NE)vs. 7.1ヵ月(95%CI:5.6~9.7)、HR:0.30(95%CI:0.22~0.40)だった。 ・ベースライン時点で脳転移を有する症例でのORRはT-Dxd群67.4% vs.T-DM1群20.5%。CRは4.7% vs.0%、PRは62.8% vs.20.5%。脳転移のない症例でのORRは82.1% vs. 36.6%。CRは18.3% vs.10.3%、PRは63.8% vs.26.3%だった。 ・ベースライン時点で脳転移を有する症例での頭蓋内奏効は、CRがT-Dxd群27.8% vs. T-DM1群2.8%、PRは36.1% vs.30.6%だった。 ・中間解析において治療中止に関連した有害事象としてT-Dxd群で最も多かったのはILD/肺炎であったが、Grade4以上の報告はなく、またアジア人サブグループと非アジア人サブグループの間で差は認められなかった(10.9% vs.10.0%)。 (ケアネット 遊佐 なつみ) 参考文献・参考サイトはこちら DESTINY-Breast03試験(Clinical Trials.gov) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 HR0.28、T-DXdがHER2+乳がん2次治療でT-DM1に対しPFS改善(DESTINY-Breast03)/ESMO2021 医療一般(2021/09/22) トラスツズマブ エムタンシン既治療のHER2陽性転移乳がんに対するtrastuzumab deruxtecan(DESTINY-Breast01):単アームの第II相試験で奏効率は60.9%(解説:下村 昭彦 氏)-1184 CLEAR!ジャーナル四天王(2020/02/10) HER2+進行乳がんへのT-DXdによるILDの特徴/ESMO BREAST 2021 医療一般(2021/05/13) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] GLP-1受容体作動薬、内視鏡検査の誤嚥リスクに影響するか/BMJ(2024/11/05) オピオイド使用障害、治療中止リスクが低い薬剤は?/JAMA(2024/11/05) 精神科病床数はどのくらい必要なのか〜メタ解析(2024/11/05) 胃がん1次治療のニボルマブ+化学療法、承認後のリアルワールドデータ/日本癌治療学会(2024/11/05) 実臨床のスタチン、ロスバスタチンvs.アトルバスタチン(2024/11/05) 脳卒中後の治療で最善の血栓溶解薬とは?(2024/11/05) 不十分な情報でも「自分は正しい」と思い込むのはなぜか(2024/11/05) 大量飲酒後には不整脈リスクが増加か(2024/11/05) [ あわせて読みたい ] 医師向けガイドライン改訂に対応した患者ガイドブック2021年版~日本肺癌学会【肺がんインタビュー】 第72回(2021/12/10) 血液がん特集インデックス(2021/11/18) 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 血液(2021/04/20) 脳血管内治療STANDARD(2020/12/10) Dr.岡の感染症プラチナレクチャー 医療関連感染症編(2020/02/10) 第4回 現代の「医療マンガ」とはどうあるべきか(2019/12/27)
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