身長とがんリスクの関連が示唆されているが、ほとんどの研究は欧米人を対象としておりアジア人を対象とした研究は少ない。今回、中国・Fudan UniversityのYougen Wu氏らが中国人の前向きコホートで解析したところ、高身長ががん全体、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頸がんのリスクと有意に関連していた。さらに、中国・日本・韓国のデータを用いたメンデルランダム化解析により、高身長が肺がんおよび胃がんのリスク因子である可能性が示唆された。Cancer Epidemiology誌2024年10月号に掲載。
本研究では、中国のChina Kadoorie Biobank(CKB)前向きコホートのデータを用いて観察的解析を実施し、調整後のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルを用いて推定した。また、CKB、日本のBiobank Japan、韓国のKorean Genome and Epidemiology Studyのデータを用いた2標本メンデルランダム化解析により身長とがんの因果関係を検討した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値10.1年で2万2,731例にがんが発生した。
・観察的解析では、ボンフェローニ補正後、身長10cm増加当たりのHRは、がん全体で1.16(95%CI:1.14~1.19、p<0.001)、肺がんで1.18(同:1.12~1.24、p<0.001)、食道がんで1.21(同:1.12~1.30、p<0.001)、乳がんで1.41(同:1.31~1.53、p<0.001)、子宮頸がんで1.29(同:1.15~1.45、p<0.001)で、身長が高いとリスクが有意に上昇した。また、悪性リンパ腫で1.18(同:1.04~1.34、p=0.010)、大腸がんで1.09(同:1.02~1.16、p=0.010)、胃がんで1.07(同:1.00~1.14、p=0.044)で、リスク上昇が示唆された。
・メンデルランダム化解析では、遺伝的に予測される身長の1標準偏差(8.07cm)増加当たりのオッズ比は、肺がんで1.17(95%CI:1.02~1.35、p=0.0244)、胃がんで1.14(同:1.02~1.29、p=0.0233)で、高身長でリスク上昇が示唆された。
(ケアネット 金沢 浩子)