穀物や植物油由来の植物性脂肪の摂取量が多いと、全死亡率および心血管疾患(CVD)死亡率が低下することが明らかになった。一方で、乳製品や卵由来の動物性脂肪の摂取量が多いと、全死亡率およびCVD死亡率が上昇することも示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年8月12日号掲載の報告。
中国・The Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのBin Zhao氏らは、食事による植物性脂肪および動物性脂肪の摂取と全死亡率およびCVDによる死亡率との関連性を調査するため、1995~2019年にかけて米国で大規模な前向きコホート研究を行った。検証済みの食物摂取頻度調査(FFQ)を用い、食事由来の脂肪について、ベースラインでの食品源を特定し、その他の食事情報を収集。Cox回帰分析にてハザード比(HR)と24年間の調整絶対リスク差(ARD)を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象者は40万7,531人で、男性が23万1,881人(56.9%)、平均年齢±SDは61.2±5.4歳であった。
・810万7,711人年の追跡期間中、CVDによる死亡5万8,526例を含む18万5,111例の死亡が確認された。
・関連する食品源の調整を含む多変量調整後、最高五分位と最低五分位を比較すると、植物性脂肪ではHR:0.91(調整済みARD:-1.10%)とHR:0.86(同:-0.73%、傾向のp<0.001)で、とくに穀物(HR:0.92[同:-0.98%]とHR:0.86[同:-0.71%]、傾向のp<0.001)と植物油(HR:0.88[同:-1.40%]とHR:0.85[同:-0.71%]、傾向のp<0.001)からの脂肪摂取量が多い場合に、全死亡率とCVD死亡率が低下することが示された。
・対照的に、動物性脂肪の摂取量が多いと全死亡率とCVD死亡率が上昇し、全動物性脂肪ではHR:1.16(同:0.78%)とHR:1.14(同:0.32%、傾向のp<0.001)で、乳製品はHR:1.09(同:0.86%)とHR:1.07(同:0.24%、傾向のp<0.001)、卵はHR:1.13(同:1.40%)とHR:1.16(同:0.82%、傾向のp<0.001)であった。
・動物性脂肪由来のエネルギーの5%を植物性脂肪、とくに穀物や植物油由来のエネルギーに置き換えると、全死亡が4~24%減少、CVDによる死亡が5~30%減少した。
(ケアネット 土井 舞子)