英国バイオバンクコホートのデータによる5万例以上の大規模コホート研究で、毎日のナッツ摂取と認知症リスク低下の関連が示された。スペイン・Universidad de Castilla-La ManchaのBruno Bizzozero-Peroni氏らは、成人におけるナッツ摂取と認知症リスクとの関係を分析した地域ベースのコホート研究結果を、GeroScience誌オンライン版2024年9月30日号に報告した。
本研究では、2007~12年(ベースライン)と2013~23年(フォローアップ)の英国バイオバンクコホートの参加者データが解析された。ナッツ摂取に関するベースライン情報は、Oxford WebQ24時間アンケートを使用して取得され、すべての原因による認知症(アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症など)の発症は、ベースライン時およびフォローアップ時に、自己申告による医学的診断、入院、または死亡記録を通じて評価された。なお、ベースライン時点で認知症を発症していた参加者は除外された。
ハザード回帰モデルを使用して、ナッツの摂取とすべての原因による認知症の発症リスクとの関連性を推定し、社会人口統計学的特徴、ライフスタイル、聴覚障害、自己評価による健康状態、慢性疾患の数により調整された。
主な結果は以下のとおり。
・5万386人の参加者(平均年齢:56.5±7.7歳、女性:49.2%)が前向き解析に含まれ、すべての原因による認知症の発症率は2.8%(1,422件)であった。
・平均7.1年の追跡調査後、ナッツをまったく摂取しなかった場合と比較して、毎日のナッツ摂取(>0~3つかみ以上)は、潜在的な交絡因子に関係なく、すべての原因による認知症リスクの12%低下と有意に関連していた(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.77~0.99)。
・ナッツの摂取とハザード回帰モデルに含まれた共変量との間には、統計学的に有意な相互作用は観察されなかった。
・層別分析では、1日当たり最大1つかみ(30g)のナッツの摂取と無塩ナッツの摂取が最も大きな保護効果と関連していた。
(ケアネット 遊佐 なつみ)