乳がんサバイバーの生存期間の延長に伴い、2次がん発症リスクが上昇している。2次がんの部位は、米国・Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベース(2010~15年)によると、乳房(30.0%)に次いで肺・気管支(13.4%)が多かった。今回、乳がんと肺がんの双方向の因果関係について、中国・The First Affiliated Hospital of Xi'an Jiaotong UniversityのXiaoqian Li氏らがメンデルランダム化(MR)解析で調査したところ、乳がんサバイバーにおいて2次肺腺がんリスクが上昇することが示唆された。Scientific Reports誌2024年11月6日号に掲載。
本研究では、Breast Cancer Association Consortium(BCAC)における22万8,951例のゲノムワイド関連研究データと、Transdisciplinary Research in Cancer of the Lung(TRICL)における11万2,781例のゲノムワイド関連研究の要約統計を用いて、双方向2サンプルMR解析を実施した。MR解析は逆分散加重(IVW)法のほか、補完的に加重中央値法、MR-RAPS法、MR-Egger 法を用いた。乳がんはエストロゲン受容体発現の有無別、肺がんは肺腺がん、扁平上皮肺がん、小細胞肺がんに分け、関連を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・乳がん全体における肺腺がんとの因果関係がIVW法(オッズ比[OR]:1.060、95%信頼区間[CI]:1.008~1.116、p=0.024)およびMR-RAPS法(OR:1.059、95%CI:1.005~1.116、p=0.033)で認められ、乳がん患者において肺腺がんリスクが上昇することが示唆された。
・肺腺がんの乳がんに対する有意な因果関係は認められなかった。
著者らは「乳がんサバイバーの死亡率を下げるために、2次肺がんのスクリーニングの強化、早期介入と治療が必要」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)