HER2+早期乳がんに対する術前補助療法において、トラスツズマブ+ペルツズマブにドセタキセル+カルボプラチンを併用した標準レジメンより、トラスツズマブ+ペルツズマブにnab-パクリタキセルを併用したde-escalation治療のほうが有用な可能性が示唆された。中国・The Affiliated Cancer Hospital of Zhengzhou University and Henan Cancer HospitalのXiu-Chun Chen氏らが、多施設共同無作為化第III相HELEN-006試験において主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)の最終解析結果を報告した。The Lancet Oncology誌オンライン版2024年11月26日号に掲載。
・対象: 18~70歳、StageII/IIIの未治療浸潤性HER2+乳がん患者
・試験群:nab-パクリタキセル(125mg/m2、1、8、15日目)+トラスツズマブ(負荷量8mg/kg、維持量6mg/kg)+ペルツズマブ(負荷量840mg、維持量420mg)を3週ごと6サイクル投与
・対照群:ドセタキセル(75mg/m2、1日目)+カルボプラチン(AUC6、1日目)+トラスツズマブ(負荷量8mg/kg、維持量6mg/kg)+ペルツズマブ(負荷量840mg、維持量420mg)を3週ごと6サイクル投与
・主要評価項目:pCR(ypT0/is ypN0)(modified ITT)
主な結果は以下のとおり。
・2020年9月20日~2023年3月1日に689例を無作為に割り付けた(nab-パクリタキセル群343例、ドセタキセル+カルボプラチン群346例)。689例全例がアジア人女性で、 669例(nab-パクリタキセル群332例、ドセタキセル+カルボプラチン群337例)が1回以上の試験治療を受けた。年齢中央値は50歳(四分位範囲:43~55)、追跡期間中央値は26ヵ月(同:19~32)だった。
・pCR例は、nab-パクリタキセル群が220例(66.3%、95%信頼区間[CI]:61.2~71.4)、ドセタキセル+カルボプラチン群が194例(57.6%、95%CI:52.3~62.9)だった(複合オッズ比:1.54、95%CI:1.10~2.14)。
・Grade3/4の有害事象は、nab-パクリタキセル群で100例(30%)、ドセタキセル+カルボプラチン群で128例(38%)に認められ、多かったGrade3/4の有害事象は悪心(nab-パクリタキセル群、ドセタキセル+カルボプラチン群の順に22例、76例)、下痢(25例、55例)、神経障害(43例、8例)であった。
・重篤な薬剤関連有害事象は、nab-パクリタキセル群で3例、ドセタキセル+カルボプラチン群で5例に報告され、両群とも治療関連死亡は報告されなかった。
著者らは、「この結果は、HER2+早期乳がんに対する術前補助療法において、トラスツズマブおよびペルツズマブとnab-パクリタキセルの併用が標準レジメンより利点がある可能性を示唆するものであり、この新しい併用療法がこの患者集団における術前補助療法の新たな標準療法を確立する可能性を示唆する」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)