精神科再入院に対する各抗うつ薬の影響比較

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/20

 

 うつ病患者は、健康状態が悪化することが少なくない。さらに、複数の入院を経験した患者は、予後不良である傾向が高まる。うつ病に対する第1選択治療は、依然として抗うつ薬治療であるが、各抗うつ薬が精神科再入院リスクに及ぼす影響を評価したデータは、限られている。米国・ラトガース大学のHannah Mei氏らは、精神科入院うつ病患者における退院時の抗うつ薬選択と再入院率との関連を評価した。Cureus誌2024年12月22日号の報告。

 対象は、抗うつ薬治療により退院した成人うつ病患者。対象患者の精神科再入院率を評価するため、単一施設レトロスペクティブカルテベースレビューを実施した。主要アウトカムは、抗うつ薬治療による30日間の精神科再入院率の比較とした。副次的アウトカムには、抗うつ薬治療による6ヵ月および1年間の精神科再入院率を含めた。オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)、p値を算出し、各抗うつ薬治療により退院した患者とそれ以外の抗うつ薬で治療した患者における再入院のORを比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・この研究で用いられていた抗うつ薬は、bupropion、デュロキセチン、エスシタロプラム、fluoxetine、ミルタザピン、パロキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン。
・退院時にセルトラリンで治療されていた患者は、他の抗うつ薬または複数の抗うつ薬を併用していた患者と比較し、30日以内の精神科再入院リスクが約4分の1であった(OR:0.228、95%CI:0.053〜0.978、p<0.05)。
・退院時に抗うつ薬を併用していた患者は、単剤治療していた患者と比較し、再入院リスクが高かった(OR:4.517、95%CI:1.581〜12.908、p<0.05)。

 著者らは「精神科入院うつ病患者に対する抗うつ薬の選択は、症状の再発や再入院リスクに影響を及ぼす可能性があり、慎重に検討する必要があることが示唆された。うつ病患者の精神科再入院リスクに及ぼす可能性のある他の因子を評価するためにも、さらなる研究が求められる」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)