多発性骨髄腫の新規治療開発を加速するMRDに基づくエンドポイント/JCO

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/02/20

 

 多発性骨髄腫(MM)の新たな治療の早期承認を実現するためには、臨床試験を迅速化するための早期エンドポイントが必要である。今回、米国・メイヨークリニックのQian Shiらは、新規診断の移植適格患者・移植不適格患者、再発/難治性(RR)の多発性骨髄腫患者において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の中間エンドポイントとして微小残存病変(MRD)陰性完全奏効(CR)の可能性を検討した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年2月12日号に掲載。

 本解析では、20の多施設無作為化試験から個々の患者データを収集した。十分なデータを有する11試験(4,773 例)を解析し、9 ヵ月または 12 ヵ月における10-5を閾値としたMRD陰性CRがPFSとOSに関する臨床的有用性を予測できるかどうかを評価した。全体的なオッズ比(OR)は二変量Plackett Copulaモデルを用いて推定した。さらに、MRD陰性CRとPFS/OSにおける治療効果の相関を、線形回帰(R2加重最小二乗)モデルおよびCopula(R2Copula)モデルで評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析の結果、新規診断の移植適格患者、新規診断の移植不適格患者、再発/難治性MM患者において、9 ヵ月および 12 ヵ月におけるMRD陰性CRが、患者レベルでPFSと強い相関を示した。
・全体的なORは3.06~16.24の範囲であり、95%CIはすべて1.0を含まなかった。
・3つの集団の統合により、有望な試験レベルの相関(R2:0.61~0.70)がみられ、新規診断集団ではより強い相関(R2:0.67~0.78)がみられた。
・OSについても同様の結果がみられた。

 著者らは、「今回の結果は、新規診断の移植適格患者および移植不適格患者、再発/難治性MM患者を対象とした今後の臨床試験において、早期承認のための中間エンドポイントとして、治療開始後9ヵ月または12ヵ月に10-5を閾値としたMRD陰性CRを使用することを支持するもの」とした。

(ケアネット 金沢 浩子)