統合失調症の陰性症状に対する抗精神病薬+スルフォラファンの有用性

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/02/26

 

 統合失調症の陰性症状に対する確立された治療法はほとんどなく、多くの患者では、陽性症状軽減後も陰性症状が持続している。酸化ストレス、炎症、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)に関わるエピジェネティックな変化は、統合失調症の病態生理と関連していると考えられている。中国・中南大学湘雅二医院のJing Huang氏らは、統合失調症の陰性症状軽減に対する抗酸化作用を有するHDAC阻害薬であるスルフォラファンの有効性を評価するため、24週間の二重盲検プラセボ対照試験を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2025年1月20日号の報告。

 統合失調症(DSM-V基準)患者を2020年8月〜2022年8月に募集した。対象患者は、抗精神病薬とスルフォラファン(1,700mg/日)を併用したスルフォラファン群とプラセボを併用した対照群に2:1でランダムに割り付け、24週間投与を行った。解析対象患者は、スルフォラファン群53例、対照群24例。主要アウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の陰性症状スコアの変化とした。

 主な結果は以下のとおり。

・スルフォラファン群は、対照群と比較し、PANSS陰性症状総スコア(p=0.01)およびPANSS陰性因子スコア(p=0.02)の有意な減少が認められた。
・最も顕著な差は、24週目にみられ(p≦0.01)、24週時点でのエフェクトサイズは大きかった(d=0.8)。
・スルフォラファンの陰性症状軽減効果は、PANSSの抑うつ症状および認知因子の変化により得られる作用ではなかった。

 著者らは「高用量スルフォラファンの併用投与は、統合失調症患者の陰性症状改善に寄与する可能性が示唆された。この陰性症状軽減の臨床的意義については、さらなる評価が必要とされる」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)