「DNAR」を説明できますか?高齢者救急について日本救急医学会が提言

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/28

 

 日本救急医学会では、高齢者救急に関連する学会・団体と共同で、高齢者が救急医療を必要としたときに適切で意に沿った医療を受けることができ、その後も納得できる暮らし方を選ぶことができるようにすることを目的として、「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」を策定、2025年2月号の学会雑誌に掲載した。医療・福祉従事者のほか、市民、施設職員、救急隊員などそれぞれの立場に向けて提言を提示している。また、高齢者救急に関する用語が正しく使用されていない状況があることから、臨床現場で正しく使用されるようになることを目的として、「高齢者救急に関する用語の統一概念」が策定された。

医療従事者にも誤用がみられる「DNAR」

 「高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言2024」では、“高齢者の医療・ケアに日常的に関係する医療・福祉スタッフの方々へ”、“急性期〜慢性期病院の方々へ”などの形でそれぞれの立場に対して提言が示され、急変時の対応手順の例やアドバンス・ケア・プランニング(ACP)での対話を意味あるものにするための注意点などが示されている。

 DNAR(do not attempt resuscitation)については、「患者本人または患者の意思を推定できる者の意思決定に沿い、心停止の際に心肺蘇生法(CPR)を行わないこと」であるが、医療従事者の間でも「DNAR」の提示があれば積極的な医療を行わなくてよいと誤認するなど、臨床現場で誤って使用されていることも少なくないと指摘し、“「DNAR」はあくまでも心停止時の対応であり、心停止でない急変時に救命処置を行わなくてよいということではない“と注意喚起している。

「予想しない急変」「予想された急変」など、用語の統一概念を提示

 2017年に発足した日本救急医学会の高齢者救急委員会において、DNARやACPなどの高齢者救急に関連する用語の統一概念の検討・定義が行われ、「高齢者救急に関する用語の統一概念」として策定された。

 「予想しない急変」「予想された急変」「延命医療・延命措置」など、大きく15の項目について定義が簡潔に示されており、国内だけでも学会や医師会などで複数の定義が示されているACPに関しては、それらを一覧できる形で示している。

(ケアネット 遊佐 なつみ)