冬季うつの改善に運動を

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2022/12/29

 

 冬に入り日が短くなると、季節性感情障害(SAD)として知られる冬季うつのために、気分が落ち込みやすくなる人が増加する。例えば、疲れやすい、人生に行き詰まった感じがする、やる気が出ない、炭水化物や甘い物が欲しくなる、といった症状が現れることがある。そのような時は、有酸素運動などを行うと気分を高めるのに役立つかもしれない。米ベイラー医科大学のJames McDeavitt氏らが同大学のサイト内で、冬季うつを改善するためのいくつかのヒントを提供している。

 McDeavitt氏はまず、「SADでは、運動を継続するか、場合によっては運動量を増やすことが望ましい」と語る。「有酸素運動を継続的に行うことは気分に良い影響を与える。ただし、必ずしも負荷のかかるジョギングなどである必要はない。ヨガや太極拳、瞑想なども、抑うつ症状の改善に役立つ」とのことだ。同氏は、「SADやうつ病、その他の原因でセロトニンとドーパミンのレベルが低下している状態では、運動を通じて脳内神経伝達物質のレベルを高めるというメリットを得られる」と、症状改善のメカニズムを解説している。

 注意点としては、それらを習慣として行うことが挙げられ、McDeavitt氏によると、一つの行動を習慣化するにはだいたい3カ月かかるという。もし、冬になったからといって継続を怠ってしまうと習慣化されず、せっかく身に付いていた良い習慣も失われてしまいかねないとのことだ。

 そのほかに、日の短い冬季に屋外で安全に運動するには、交通事故防止のために光を反射しやすい素材の服を着たり、点滅するライトを着用することを同氏は勧めている。また、音楽などを聴きながら運動をする人もいるが、周囲の危険を認識するには、イヤフォンを付けずに運動した方が良いという。

 運動をする場所としては、舗装された道路の方が怪我の予防には良い反面、交通事故のリスクという点では道路から適度に離れた場所が良く、また、ある程度は周囲に人がいた方が安全であり、「それらのバランスを考慮して最適な場所を見つけてほしい」と述べている。必要に応じて、個人用保護具の携帯も考慮に値するとのことだ。

 運動の種類としては、ダンベルや伸縮性のあるレジスタンスバンドを使っての筋力トレーニング、腕立て伏せ、スクワットなどの体重を用いたトレーニング、さらに余裕があればトレッドミルまたはエルゴメーターを自宅用に購入することをMcDeavitt氏は提案している。また、「季節ごとに運動の種類を変えるのも良いアイデアだ。例えば春には屋外で走り、冬には屋内を中心に運動すると良い。ポイントは、運動の習慣を失わないようにすることだ」とアドバイスしている。冬季にも屋内で行える、気分を高める方法として、ヨガや太極拳、ストレッチなどが挙げられ、それらは身体的なメリットだけでなく、精神的なメリットももたらしてくれるという。

 最後に同氏は、SADに限らず、何らかの理由で抑うつを感じている場合は、主治医に相談して助けを求めることの重要性を強調している。また、米国内に居住している人であれば、988番(日本の自殺予防ホットラインなどに相当)にダイヤルすることで、他者に知られずにサポートを受けられることを紹介している。

[2022年11月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら