米食品医薬品局(FDA)は1月19日、慢性リンパ球性白血病(CLL)と小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、次世代のBTK阻害薬であるzanubrutinib(ザヌブルチニブ、商品名Brukinsa)を承認したことを発表した。
今回の承認は、2件の第3相ランダム化比較試験の結果に基づくもの。1件目の試験(SEQUOIA試験)では、染色体17p欠失のない未治療のCLL/SLL患者479人が、zanubrutinibの投与、またはベンダムスチンとリツキシマブの併用療法を6サイクル受ける群に1対1の割合でランダムに割り付けられた。その結果、無増悪生存期間中央値は、zanubrutinib群では未到達、併用療法群では33.7カ月であった。また、同試験でランダム化されなかったがzanubrutinibの投与を受けた17p欠失のある未治療のCLL/SLL患者110人では、独立評価委員会(IRC)の判定による全奏効率(ORR)が88%であり、追跡期間中央値25.1カ月時点での奏効持続期間(DOR)中央値は未到達だった。
2件目の試験(ALPINE試験)では、再発性または難治性のCLL/SLL患者652人が、zanubrutinibを投与する群とイブルチニブを投与する群に1対1の割合でランダムに割り付けられた。イブルチニブは第1世代のBTK阻害薬であり、現在の標準治療となっている。その結果、IRC判定によるORRはzanubrutinib群80%、イブルチニブ群73%であり、追跡期間中央値14.1カ月後のDOR中央値は両群ともに未到達だった。追跡2年時点での無増悪生存率はzanubrutinib群の方が高かった(79.5%対67.3%)。さらにzanubrutinib群では、心疾患および心イベントの発生などによる治療中止率(26.3%対41.2%)と、心房細動または心房粗動の発生率(5.2%対13.3%)がともに低かった。
両試験において、zanubrutinib群の30%以上に生じた有害反応は、好中球数の減少(42%)、上気道感染症(39%)、血小板数の減少(34%)、出血(30%)、筋骨格痛(30%)であった。
ALPINE試験を率いた米ダナ・ファーバーがん研究所のJennifer R. Brown氏は、「今回の結果から、zanubrutinibはイブルチニブに比べて副作用や有害事象が少なく、患者のQOLを向上できることが分かった」と話す。また、「zanubrutinibがCLL/SLLの成人を対象に承認されたことは心強く、多くの患者がこの承認による恩恵を得られるものと楽しみにしている」と期待を示している。
なお、Brukinsaの承認は、BeiGene社に対して付与された。
[2023年1月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら