カロリー制限に比べて断続的断食の方が、糖代謝改善効果に優れている可能性を示唆するデータが報告された。アデレード大学(オーストラリア)のXiao Tong Teong氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Medicine」に4月6日掲載された
断続的断食(time-restricted eating;TRE)は、カロリー計算が不要なため手軽で、減量効果に関する一定のエビデンスもあることなどから、近年人気の食事療法となっている。そして新たな研究から、2型糖尿病ハイリスク者の場合、摂食する時間帯を午前中に限定した断続的断食(intermittent fasting plus early time-restricted eating;iTRE)のメリットは、摂取エネルギー量を30%減らすカロリー制限(calorie restriction;CR)よりもメリットが大きい可能性が示された。
この研究では、2型糖尿病と診断されてはいないものの、リスク評価ツールでスコアが高値を示した209人(平均年齢58±10歳、女性57%、BMI34.8±4.7)を、iTRE群、CR群、および減量に関するパンフレットを渡すだけの対照群に、2対2対1の割合で割り付け、6カ月間介入した。iTRE群は、1週間のうち3日は8~12時の4時間のみ摂食可とし、他の4日間はいつでも摂食可とした。
6カ月後、iTRE群とCR群の体重は対照群より有意に大きく減っていた(いずれもP<0.05)。iTRE群とCR群の減量幅に有意差はなかった(P=0.28)。しかし、食事負荷試験後の血糖上昇曲線下面積(AUC)については、iTRE群のみベースライン時点との比較で有意に低下しており、iTRE群のAUC減少幅はCR群の減少幅よりも有意に大きかった。つまり、iTRE群とCR群は、減量効果は同等ながら、糖代謝は前者の改善効果の方が大きかった。
この結果についてTeong氏は、「午前中のみ摂食可とするiTREは、減量効果以外の健康上のメリットがCRより大きいことを示しており、今後の臨床に影響を与える可能性がある」と述べている。ただし、本研究の介入期間終了後に12カ月間継続された観察研究終了時点(介入開始から18カ月後)の食事負荷後血糖変動AUCは、ベースライン時点との有意差が消失していた。また同氏は、「iTREは誰もが継続できるわけではないし、全ての人が行って良い方法でもない。妊娠中の女性、摂食障害や血糖降下薬を服用している糖尿病患者には推奨できない」とも語っている。
本研究には関与していない米イリノイ大学シカゴ校のKrista Varady氏は、この報告を「これまでに行われてきたTRE関連のトライアルの中で、最も介入期間が長く規模の大きいものの一つだ」と評価している。ただし、「多くの人は、家族や友人と共に夕食を楽しみたいと思うだろう。週のうち3日は8~12時しか食べることができないという生活を続けるのは困難なのではないか」との考え方を示している。同氏によると「12~20時に摂食可とすることがTREの最も一般的なパターンであり、その時間帯であれば、人々は社交的な夕食にも参加可能になる」とのことだ。
[2023年4月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら