米FDAが全身型重症筋無力症治療薬のジルビスクを承認

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/11/22

 

 米食品医薬品局(FDA)は10月17日、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の全身型重症筋無力症の成人患者に対する治療薬として、補体5(C5)阻害作用を有する自己投与型の皮下注ペプチド製剤ジルビスク(一般名ジルコプラン)を承認した。

 全身型重症筋無力症はまれな自己免疫疾患で、神経筋接合部における機能障害と損傷を特徴とする。全身型重症筋無力症の病態は、補体カスケードの活性化や免疫細胞の過剰反応、病原性のIgG(免疫グロブリンG)自己抗体の作用など複数の要因によって引き起こされると考えられている。

 ジルビスクは、C5による神経筋接合部の損傷を防ぐ薬剤で、1日1回の自己投与が可能である。静脈内投与による治療に比べた自己投与による治療の利点は、通院頻度が減少し、仕事への影響も軽減し、より自立した生活が送れる点にある。モノクローナル抗体C5阻害薬とは異なり、ペプチド製剤であるジルビスクは、経静脈的免疫グロブリン療法や血漿交換など他の治療法と併用することも可能で、追加投与の必要もない。

 ジルビスクの承認は、第3相RAISE試験の結果に基づいている。この試験では、対象患者を、12週間にわたって0.3mg/kgのジルビスクを1日1回皮下注射する群とプラセボを投与する群に1対1の割合でランダムに割り付けた。その結果、ジルビスク群では、主要評価項目とされた重症筋無力症の症状および日常生活動作(ADL)の改善について、12週目に有意な効果が認められた。ジルビスク群の10%以上に生じた主な副作用は、注射部位反応、上気道感染症、下痢であった。

 FDAよりジルビスクの製造販売承認を付与されたUCB社のチーフメディカルオフィサーであるIris Loew-Friedrich氏は、「これまで、全身型重症筋無力症の患者には、C5療法を静脈内投与で受けるよりほか選択肢がなく、不便で多大な時間もかかっていた。今回の承認を受け、われわれは、AChR抗体陽性で軽症から重症までの成人全身型重症筋無力症患者が、より自立した生活を送れるようになることを願っている」と述べている。

[2023年10月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら