睡眠時無呼吸を有する50歳以上の人では症状がない人に比べて、将来、病気で入院するオッズが21%高いことが新たな研究で明らかになった。この研究を実施した米フロリダ大学医学部のChristopher Kaufmann氏は、「この結果は、過体重、健康不良、うつ病といった医療サービス利用の増加に寄与する可能性のある因子を考慮した後でも変わらなかった」と話している。この研究結果は、米国睡眠学会および睡眠研究学会の年次総会(SLEEP 2024、6月1〜5日、米ヒューストン)で発表され、要旨が「Sleep」5月増刊号1に掲載された。
睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸停止が繰り返し起こることで眠りが妨げられる症状を指し、閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸に大別される。症例が多いのは閉塞性睡眠時無呼吸であり、睡眠中に空気の通り道である上気道が閉塞して呼吸が停止することで発生する。睡眠時無呼吸を未治療でおくと、高血圧、冠動脈疾患、心房細動、脳卒中、2型糖尿病などの健康問題を招く恐れがあることが知られている。
Kaufmann氏らの研究では、加齢に伴い生じる健康問題に関する研究であるHealth and Retirement Studyの2016年と2018年の調査に参加した50歳以上の成人2万115人のデータが分析された。調査参加者は、2016年の調査で睡眠時無呼吸も含めた睡眠障害の有無について、2018年の調査では、その後の医療サービスの利用(入院、在宅医療、ナーシングホームの利用など)の有無について尋ねられていた。参加者の11.8%が睡眠時無呼吸を有していることを報告していた。
人口統計学的属性やBMI、健康状態、抑うつ症状の有無で調整して解析した結果、2016年の時点で睡眠時無呼吸を有していた人では有していなかった人に比べて、2018年に医療サービスの利用を報告するオッズが21%有意に高いことが明らかになった(調整オッズ比1.21、95%信頼区間1.02〜1.43)。医療サービスの中では、入院のオッズが有意に高かったが(同1.21、1.02〜1.44)、在宅医療の利用に有意差は認められなかった(同1.23、0.99〜1.54)。
Kaufmann氏は学会のニュースリリースの中で、「われわれの研究では、睡眠時無呼吸を有する50歳以上の人では有していない人に比べて、将来的に医療サービスを利用する可能性の高いことが示唆された」と述べた上で、「睡眠時無呼吸に対処することは、個人の健康状態を改善するだけでなく、医療資源への負担を軽減し、より効率的かつ効果的な医療提供につながる可能性がある」との考えを示している。
なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。
[2024年6月4日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら