CT-FFRは血行再建術を要する冠動脈狭窄患者の選択に有用

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/09/03

 

 冠動脈CT血管造影検査(CTA)のデータを用いた血流予備量比(FFR)の解析(CT-FFR)は、心拍数を制御せずに施行しても冠動脈狭窄患者の虚血評価に有用であり、侵襲的な血行再建術に紹介される患者の人数を減らすことが報告された。詳細は「Radiology: Cardiothoracic Imaging」4月号に掲載された。

 CT-FFRによる非侵襲的な冠動脈狭窄の虚血評価が臨床利用されているが、心拍数を制御せずに得られたデータでも有用なのかは未だ不明瞭である。そこで米マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学大学院のMangun K. Randhawa氏らは、2020年8月~2021年8月に同院で心拍数の制御なしにデュアルソース冠動脈CTAを施行した全患者を対象に、後ろ向き観察研究を実施した。冠動脈CTAで軽度~重度の冠動脈狭窄が認められた患者は、医師の判断でCT-FFRに紹介された。CT-FFR の結果から、心筋虚血は陽性(FFR値0.75以下)、境界域(同0.76~0.80)、陰性(同0.80超)に分類された。

 患者のカルテをレビューし、冠動脈CTAの特徴と、その後3カ月間の侵襲的冠動脈造影(ICA)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、心筋梗塞、全死亡を評価。これらのアウトカムをCT-FFRを受けた患者と受けなかった患者との間で比較し、CT-FFRで評価した心筋虚血の各カテゴリについても分析した。CT-FFRとアウトカムとの関連性は、ロジスティック回帰を用いて年齢、性別、併存疾患、冠動脈病変の重症度を調整した上で評価した。

 その結果、患者3,098人が冠動脈CTAを受けていた。冠動脈バイパス術を受けた患者を除外した2,985人のうち、292人(9.7%)がCT-FFRに紹介されていた。CT-FFR の結果を得られた284人のうち、心筋虚血陰性に分類されたのは160人(56.3%)であり、陽性は88人(30.9%)、境界域は36人(12.6%)であった。CT-FFRの結果を得られた患者のうち、96.5%は著明な解剖学的狭窄(CAD-RADSカテゴリ3以上)を有していた。

 冠動脈CTAで著明な解剖学的狭窄を認めた患者では、CT-FFRを受けた場合、受けなかった場合と比較して、ICA(25.5%対74.5%、P=0.04)、PCI(21.1%対78.9%、P=0.05)の施行率が有意に低かった。CT-FFRを受けた患者のうち62人(22.7%)がICAに紹介され、そのうち12人(19.4%)は50%以上の狭窄、14人(22.6%)は70%以上の狭窄、11人(17.7%)は90%以上の狭窄が認められた。

 Randhawa氏はニュースリリースで、「冠動脈に中等度の狭窄や閉塞のある患者では、侵襲的な検査や血行再建術が有益か否かを見分けるのが難しいことがある。CT-FFRは、恩恵を受ける可能性が特に高い患者を特定し、選択するのに有用である」と述べている。

[2024年4月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら