喫煙とCVDリスクとの関係は用量依存的

提供元:HealthDay News

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公開日:2025/02/19

 

 喫煙と心血管疾患(CVD)リスクの関係は用量依存的であることを示した研究結果が、「JAMA Network Open」に11月1日掲載された。

 中央大学光明病院(韓国)のJun Hwan Cho氏らは、韓国の国民健康保険データベースを用いて、禁煙後のCVDリスクと、累積喫煙量(パックイヤー〔PY〕)や禁煙後の経過年数(years since quitting;YSQ)との関連を検討した。対象は、2006年から2008年の間に自己報告による喫煙状況が記録された539万1,231人(男性39.9%、平均年齢45.8〔標準偏差14.7〕歳)で、15.8%は現喫煙者、1.9%は元喫煙者、82.2%は喫煙未経験者であった。元喫煙者と現喫煙者については、喫煙開始年齢、過去または現在の1日当たりの喫煙本数、および禁煙した年齢(元喫煙者のみ)に基づき、ベースライン時点のPYとYSQを計算した。対象者の喫煙状況は、2019年まで2年ごとに更新された。最終的に、PYの中央値は、元喫煙者で10.5(四分位範囲5.3〜20.0)PY、現喫煙者で14.0(同7.5〜20.0)PYであった。元喫煙者のYSQの中央値は4年(同2〜8)であった。主要評価項目は、CVD(心血管疾患による死亡、心筋梗塞、脳卒中、心不全の複合)の発症率およびそのハザード比とし、ポアソン回帰分析でCVD発症率を算出した。また、Cox比例ハザード回帰モデルにより、喫煙状況に基づく調整ハザード比(aHR)を推定した。

 PYとCVDリスクとの関係は、現喫煙者および元喫煙者の双方で用量依存的であり、特に、元喫煙者では喫煙未経験者に比べて、8PYを境にCVDリスクが有意に上昇していた(aHR 1.16、95%信頼区間〔CI〕1.13〜1.19、P<0.001)。現喫煙者においては、10PYまでリスクが直線的に急増し、10〜20PYではリスクが維持され、20PYを超えると再び増加に転じていた。

 YSQとCVDリスクとの関係は、YSQが長いほどCVDリスクは低下することが示された。特に元喫煙者では現喫煙者と比較して、YSQ5年以内にCVDリスクの有意な低下が認められた(aHR 0.96、95%CI 0.92〜0.99)。しかし、喫煙未経験者と比べると、元喫煙者ではYSQ 20年以上が経過しても、依然としてCVDリスクは高いままであった。喫煙量が少ない(8PY未満)元喫煙者では、CVDリスクは喫煙未経験者と同等であり(同1.02、0.97〜1.07、P=0.47)、YSQ20年以内にリスクが顕著に低下していた。一方、喫煙量の多い(8PY以上)元喫煙者では、長期間にわたって高いリスクが維持され、YSQが25年を経過するまでCVDリスクは高いままだった(同1.18、0.94〜1.43、P=0.81;有意差は消失)。

 著者らは、「過去にヘビースモーカーであった人のCVDリスクは、現喫煙者と同等だと考えるべきであり、それに応じた管理計画を立てる必要がある」と述べている。

 なお、一人の著者が、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[2024年11月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら