関節リウマチ発症リスクのある者は特徴的な腸内細菌叢を有する

提供元:HealthDay News

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公開日:2025/02/26

 

 関節リウマチ(RA)発症リスクのある者は、特徴的な腸内細菌叢を有するという研究結果が「Annals of the Rheumatic Diseases」に11月8日掲載された。

 RA患者やそのリスクを有する者は、健康な者と比べて異なる腸内細菌叢を有することが知られているが、RAに進行する患者の腸内細菌叢の詳細な状態は明らかになっていない。英リーズ大学のChristopher M. Rooney氏らは、RA発症リスクを有する者を対象に、RAを発症した者と発症しなかった者に分け、腸内細菌叢の構造や機能、経時的な変化を比較した。RA発症リスクを、抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体が陽性で、新たな筋骨格症状が存在し、かつ臨床的な滑膜炎がないものと定義し、このリスクを有する124人の被験者を特定した(うち30人がRAに進行)。また、19人には15カ月にわたり5つの時点で経時的なサンプリングを行った(うち5人がRAに進行)。

 その結果、ベースライン時において、CCP陽性のRA発症リスクを有する者では、RAを発症しなかった者と比べてプレボテラセアエ属の占有率が有意に高いことが分かった。また、経時的サンプリングから、RAに進行した者では、発症10カ月前の時点で腸内細菌叢の多様性が減少して不安定な状態になっていることが明らかになった。一方、RA非発症者ではこのような現象は認められなかった。著者らによると、この結果はRA発症前の腸内細菌叢の変化は遅れて起こることを示唆しており、これにはプレボテラセアエ属が関与している可能性が考えられるという。さらに、RAの発症へ進んでいく過程での腸内細菌叢の構造変化は、アミノ酸代謝の増加と関連することも示された。

 著者らは「RA発症リスクを有する者の腸内細菌叢は特徴的であり、その中にはプレボテラセアエ属が過剰になることが含まれる。このような腸内細菌叢の特徴は、従来から指摘されているRAのリスク因子と矛盾するものでなく、関連性も認められる」と述べている。なお、複数の著者が、あるバイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[2024年11月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら