アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン3剤併用療法による胃内ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori、以下HP)除菌療法は、洗口剤や歯周病治療を併用し、口腔内HP感染率を減少させることで、胃内HP除菌率が有意に高まることが、中国医科大学附属盛京医院のHan-Yi Song氏らによる研究で明らかになった。World journal of gastroenterology誌2013年10月21日号の報告。
本研究の目的は、胃内HP除菌成功に口腔内HPが及ぼす影響について検討することである。
対象は、消化不良を訴える患者391人。HP感染の診断には、唾液HP抗原検査(HPS)、13C尿素呼気試験(UBT)を用いた。胃内HP感染を認めた233人を、口腔内HP感染の有無と治療内容により以下の4群に割り付けた。
<口腔内HP(-) 胃内HP(+)>
アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン : A群(53人)
<口腔内HP(+) 胃内HP(+)>
アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン : B群(53人)
アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン+洗口剤 : C群(65人)
アモキシシリン/エソメプラゾール/レボフロキサシン+洗口剤+歯周病治療 : D群(62人)
治療終了から4週後に再度HPSおよびUBTを行い、各群の胃内HP除菌率と口腔内HP感染率を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・各群の胃内HP除菌率は、以下のとおりであった(p値は対B群)。
A群:93.3%(p=0.039)
B群:78.4%
C群:90.0%(p=0.092)
D群:94.7%(p=0.012)
・胃内HP除菌率は、内用薬のみの群よりも、内用薬に洗口液や歯周病治療を併用した群のほうが有意に高かった。
・治療後の口腔内HP感染率は、以下のとおりであった(p値は対B群)。
A群:0% (p<0.0001)
B群:76.5%
C群:53.3%(p=0.011)
D群:50.9%(p=0.006)
・口腔内HP感染率は、内用薬に洗口剤のみ併用した群、内用薬に洗口剤と歯周病治療を併用した群で有意に減少した。
(ケアネット 武田 真貴子)