ピモジドは1960年代に製剤化され、統合失調症あるいは妄想性障害のような統合失調症関連疾患に対する治療薬として市場に供された。ただし、心毒性や突然死との関連がみられるため、現在、本剤の使用前および使用中は心電図モニタリングが必要とされる。英国・シークロフト病院のMeghana Mothi氏らは、統合失調症に対するピモジド(商品名:オーラップ)の有効性を明らかにするため、Cochrane Schizophrenia Group's Registerを用いて代表的な無作為化臨床試験のレビューを行った。その結果、データに不備はあるものの、ピモジドはその他の一般的に用いられている抗精神病薬と同程度の有効性を示すことが確認されたことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年11月5日号の掲載報告。
本研究の主な目的は、統合失調症またはその関連疾患患者において、ピモジドの効果を、プラセボ、無治療、その他の抗精神病薬の効果と比較レビューすることであった。また、妄想性障害に対するピモジドの有効性についても検討した。Cochrane Schizophrenia Group's Register の2013年1月28日時点のデータをもとに、ピモジドとその他の治療について比較検討した代表的な無作為化臨床試験(RCT)すべてを検索した。入手した文献を精査し、臨床試験および抽出されたデータの質を評価した。均質な二分性のあるデータについては、相対リスク(RR)、95%信頼区間(CI)および平均差(MDs)を算出した。50%以上の期間を追跡できなかったデータは除外し、臨床試験のバイアスを評価してエビデンスの質をグレード分類した。
主な結果は以下のとおり。
・合計32件の試験が抽出された。
<ピモジドとプラセボの比較試験>
・5件の試験が該当した。
・再発の状況が示されていたのは1件のみで(1試験、20例、RR:0.22、95%CI:0.03~1.78、エビデンスの質きわめて低い)、中期において2群間で差はなかった。
・改善を認めないという結果、あるいは精神状態の一級症状がみられた試験は1件もなかった。
・短期(1試験、19例、RR:5.50、95%CI:0.30~101.28、きわめて低い)または中期(1試験、25例、RR:1.33、95%CI:0.14~12.82、きわめて低い)におけるパーキンソニズム(固縮)、中期(1試験、25例、RR:1、95%CI:0.2~4.95、きわめて低い)のパーキンソニズム(振戦)において、錐体外路症状の状況について2群間で差はなかった。
・各試験とも、中期のQOLに関する報告はなかった。
<ピモジドと抗精神病薬との比較>
・26件の試験が該当した。
・7件で中期の再発状況が示されており、それらの結果において2群間で差はなかった(7試験、227例、RR:0.82、95%CI:0.57~1.17、中程度)。
・1件の試験で、中期(1試験、23例、RR:1.09、95%CI:0.08~15.41、きわめて低い)の精神状態(改善なし)において、2群間で差はみられなかった。
・その他の試験では、中期(1試験、44例、RR:0.53、95%CI:0.25~1.11、低い)の一級症状において2群間で差はみられなかった。
・短期(6試験、186例、RR:1.21、95%CI:0.71~2.05、低い)、中期(5試験、219例、RR:1.12、95%CI:0.24~5.25、低い)のパーキンソニズム(固縮)、または中期(4試験、174例、RR:1.46、95%CI:0.68~3.11、きわめて低い)のパーキンソニズム(振戦)において、錐体外路症状の状況に2群間で差はなかった。
・各試験とも、中期のQOLに関する報告はなかった。
<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬単独との比較>
・1件の試験が該当した。
・ピモジドと抗精神病薬の併用療法は、中期の再発が有意に少なかった(1試験、69例、RR:0.28、95%CI:0.15~0.50、低い)。
・精神状態のアウトカム、錐体外路症状に関する記載はなかった。
・メタ解析にQOLが含まれていなかったが、それとは別にQOLスコアのデータが示されており、データに歪みがみられた。
<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬+プラセボの比較>
・2件の試験が該当した。
・中期のパーキンソニズムとSpecific Level of Functioning scale(SLOF)によるQOLを除き、興味を引くデータはなかった。
<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬2剤併用の比較>
・1件の試験が該当した。
・一般状態および精神状態に関する興味深いデータはなかった。
・Extrapyramidal Symptom Rating Scale(ESRS)を用いてパーキソニズム(固縮と振戦)に関するデータが示されていたが、歪みがみられた。
・以上を踏まえて著者は、「データに明らかな不備もあったが、異なるアウトカムやタイムケールにおいて全体的に十分な一貫性があり、統合失調症患者に対して一般的に使用されているクロルプロマジンなどと同様の有効性がピモジドにおいてもあることが確認された」と結論している。なお、妄想性障害に対するピモジドの使用を支持または否定するデータはなかったという。
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