英国サウサンプトン大学ウェセックス研究所のDavid Turner氏らが、尿路感染症に対する5つの治療管理方法の費用対効果について検討した結果、最も費用対効果に優れているのは「試験紙法」だったと報告した。ただし結果は条件付きのうえ不確定要素が多いとし、また費用対効果に求める価値基準設定によっては、「速やかな経験的投与」が最も費用対効果に優れることも示されている。BMJ誌2010年2月20日号(オンライン版2010年2月5日号)掲載より。
5つの管理方法について1ヵ月間の費用対効果を検証
Turner氏らが検討したのは、(1)速やかに抗菌薬を経験的投与、(2)48時間以降に抗菌薬を経験的投与、(3)排尿症状スコア(尿の混濁・異臭、夜間頻尿、排尿障害のうち2つ以上)に基づき抗菌薬投与、(4)試験紙法の結果(亜硝酸塩、白血球、潜血が陽性)に基づき抗菌薬投与、(5)中間尿検査で陽性なら抗菌薬投与、の5つの管理方法。
尿路感染症が疑われる妊娠していない女性309例(18~70歳)を上記5群に割り付け有効性が比較検討された無作為化試験の、1ヵ月間の費用対効果について解析した。
主要評価項目は、症状期間とケアに要した費用とした。
中等症期間を1日回避することにどれだけの価値があるか
1ヵ月間で最も費用を要したのは、(5)中間尿検査群で37.1ポンド(約5,200円)だった。次いで(4)試験紙法群で35.3ポンド。一方で最も少なかったのは、(1)速やかな経験的投与群で30.6ポンド(約4,300円)だった。(2)48時間以降に経験的投与群は31.9ポンド、(3)排尿症状スコア群は32.3ポンドだった。
費用対効果については、中等症期間を1日回避しても10ポンド(約1,400円)の価値もないとみる場合は、(1)速やかな経験的投与群が最も優れた戦略のようだった。
1日回避に10ポンド以上の価値があるとみる場合は、(4)試験紙法群が最も費用対効果があるようだった。ただし、その結果については70%以上の確信性を得ることはできなかったとしている。