カンデサルタン vs. ロサルタンの心不全患者死亡リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2011/01/25

 



心不全患者に対する、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のカンデサルタン(商品名:ブロプレス)投与は、同じくARBのロサルタン(商品名:ニューロタン)投与と比べ、死亡リスクが0.7倍と低いことが示された。これまでの研究結果から左室駆出率が低下した心不全患者へのARB投与は、死亡・入院リスクを低減することは知られているものの、ARB同士で、その効果を直接比較した試験はこれが初めてという。スウェーデン、ストックホルムSouth Hospital循環器部門のMaria Eklind-Cervenka氏らが、5,000人超の心不全患者について追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月12日号で発表した。

カンデサルタンまたはロサルタン服用の5,139人を追跡




研究グループは、2000~2009年に、スウェーデンの心不全患者レジストリ「Swedish Heart Failure Registry」に登録された3万254人のうち、カンデサルタンまたはロサルタンを服用する5,139人について追跡した。カンデサルタンを服用していたのは2,639人、ロサルタンを服用していたのは2,500人だった。

被験者の平均年齢は74歳(SD 11)で、うち39%が女性だった。2009年12月14日まで追跡し、両群の1年・5年の総死亡率について比較した。

死亡リスク、カンデサルタン群がロサルタン群の0.7倍




1年生存率は、カンデサルタン群が90%(95%信頼区間:89~91)に対しロサルタン群が83%(同:81~84)、5年生存率はカンデサルタン群61%(同:54~68)に対しロサルタン群が44%(同:41~48)であった(ログランク検定P<0.001)。

プロペンシティ・スコア補正後の多変量解析の結果、ロサルタン群のカンデサルタン群に対する死亡ハザード比は1.43(同:1.23~1.65、P<0.001)であった。逆に、カンデサルタン群のロサルタン群に対する同ハザード比は0.70だった。結果は、層別解析でも変わらなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)