超早産児無呼吸に対するカフェイン投与は、生後18ヵ月における脳性麻痺や認知機能遅延リスクを低下する効果があるが、生後5年時点では、死亡と機能障害を合わせた発生率はプラセボ群と同等で、同療法が長期的には障害のない生存率の改善にはつながらないことが報告された。運動障害や認知障害などの個別の発症率についても、カフェイン投与による低下は認められなかった。米国・ペンシルベニア大学のBarbara Schmidt氏らが、約1,600例を対象とした無作為化プラセボ対照試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年1月18日号で発表した。
出生児体重500~1,250gの1,640人について5歳まで追跡
Schmidt氏らは、1999~2004年に行われた超早産児無呼吸へのカフェイン療法に関する無作為化プラセボ対照試験「Caffeine for Apnea of Prematurity」の被験者のうち1,640例について、2005~2011年にかけ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ、イスラエルの31ヵ所の教育病院を通じ追跡調査を行った。
Caffeine for Apnea of Prematurityの被験児は、出生児体重500~1250gで、担当医がカフェイン投与の必要性があると判断した新生児で、同試験では、被験児を無作為に二群に分け、一方にはクエン酸カフェイン(当初20mg/kg/日、その後5mg/kg/日、無呼吸が持続した場合には10mg/kg/日まで増加)を投与し、もう一方の群にはプラセボが投与された。
投与期間の中央値は、カフェイン群が37日、プラセボ群が36日だった。
死亡・機能障害の統合発生率、カフェイン群が21%、プラセボ群が25%で有意差は見られず
主要評価項目は、生後5年での死亡または障害が1つ以上伴う生存の複合アウトカムとした。障害の定義は、粗大運動機能分類システム(GMFCS)レベル3~5の運動障害、全検査IQで70未満の認知障害、行動障害、健康状態不良、聴覚消失、失明だった。
その結果、複合アウトカムの発生率は、カフェイン群が21.1%、プラセボ群24.8%で、両群で有意差はなかった(p=0.09)。
また、死亡率、運動障害、行動障害、健康状態不良、聴覚消失、失明のいずれの発生率についても、両群で有意差はなかった。
認知障害の発生率は、18ヵ月時点よりも5歳時点のほうが低かったが、プラセボ群と有意差は認められなかった(4.9%対5.1%、オッズ比:0.97、95%信頼区間:0.61~1.55、p=0.89)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)