心臓CT検査による血流予備量比(FFR)の測定+CT所見の診断能は、CT単独よりも、血行動態的に有意な冠動脈疾患(CAD)の診断精度および識別能を改善することが、米国・カリフォルニア大学デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のJames K. Min氏らの検討の結果、報告された。心臓CTは非侵襲的な冠動脈狭窄検査だが、狭窄が虚血を生じるかは判定しない。一方、FFRは冠動脈狭窄の生理学的指標だが侵襲的手技を要する。FFRCTは生理学的有意性を判定する斬新な方法であるが、これまでその診断能については十分に調べられていなかった。JAMA誌2012年9月26日号の掲載報告。
FFRCT+CTの冠動脈狭窄の診断能を検証
研究グループは、FFR
CT+CTの血行動態的有意な冠動脈狭窄の診断能について調べた。2010年10月~2011年10月に、CT、侵襲的冠動脈造影(ICA)、FFR、FFR
CTを受けた、5ヵ国17施設から登録した安定性のCAD(疑いまたは既知)を有する患者252例を組み込んだ多施設共同診断能試験を行った。
CT、ICA、FFR、FFR
CTは、独立した中央ラボで盲検下で読影された。FFR
CT+CTの虚血診断能を、標準試料とした侵襲的FFRと比較した。FFRまたはFFR
CTが0.80未満を虚血とし、CTまたはICAで50%以上狭窄が認められる場合は、閉塞性のCADとした。
主要試験アウトカムは、FFR
CT+CTのper-patient診断精度の改善とし、95%信頼区間(CI)の下限値が70%超を上回った場合とした。
閉塞性CADの診断、FFRCT+CTはCT単独よりも有意に改善
137例(54.4%)が、ICAによる判定でFFRが異常であると評価された。
per-patient分析に基づくFFR
CT+CTの、診断精度は73%(95%CI:67~78%)、感度90%(同:84~95%)、特異度54%(同:46~83%)、陽性適中率67%(同:60~74%)、陰性適中率84%(同:74~90%)であった。
閉塞性CADの診断について、CT単独[受信者動作特性曲線(AUC):0.68、95%CI:0.62~0.74]と比べて、FFR
CT+CTは識別能の有意な改善が認められた(同:0.81、0.75~0.86、p<0.001)。
著者は、「事前に規定した主要アウトカムには達しなかったが、CT単独と比べて、per-patientな診断精度の改善が認められた」と結論した。
(武藤まき:医療ライター)