クローン病に対する新規抗α4β7インテグリン抗体vedolizumabの有効性と安全性について、米国・カリフォルニア大学のWilliam J. Sandborn氏らが行ったGEMINI2試験の結果が報告された。活動期クローン病成人を対象とした検討で、6週時点で寛解を達成していた割合は14.5%でプラセボ投与群より有意に高率であったが、クローン病活動指数(CDAI)スコアが100ポイント以上減少(CDAI-100)の達成は有意差がなかった。また、寛解導入が有効であった患者について、治療を継続した群はプラセボに切り替えた群と比べて、52週時点に寛解であった割合が有意に高率であったことが示された。NEJM誌2013年8月22日号掲載の報告より。なお、vedolizumabの潰瘍性大腸炎に体する有効性と安全性を検討したGEMINI1試験では、その有用性が示されている(ジャーナル四天王2013年9月2日配信号)。
活動期クローン病成人患者を対象にvedolizumab 300mg静脈内投与療法について評価
GEMINI2試験は、クローン病に対するvedolizumabの有効性と安全性について、寛解導入試験と寛解維持試験を別々に行い評価した統合的研究の第3相無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照試験であった。39ヵ国285施設から参加した、活動期のクローン病成人患者(期間3ヵ月以上、CDAIスコア[範囲:0~600]が220~450)を対象に、vedolizumab 300mg静脈内投与療法について評価した。
寛解導入試験は、vedolizumab(220例)またはプラセボ(148例)の投与群に無作為に割り付けられたコホート1(368例)と、非盲検下でvedolizumabの投与を受けたコホート2(747例)について検討した。両コホートとも投与は0、2週に行われ、6週時点で疾患の状態について評価した。
寛解維持試験は、vedolizumabが有効だった461例を、引き続きvedolizumabを8週間ごとに投与する群、または同4週間ごとに投与する群、プラセボに切り替える群に無作為に割り付け、52週まで投与を行い評価した。
6週時点のCDAI-100達成は、vedolizumab群31.4%、プラセボ群25.7%
寛解導入試験について、無作為に割り付けられたコホート1において、6週時点でCDAIスコア150以下の臨床的寛解であった患者の割合は、vedolizumab群14.5%、プラセボ群6.8%だった(p=0.02)。CDAI-100の達成は、それぞれ31.4%、25.7%だった(p=0.23)。
コホート1および2の患者で導入療法が有効だった患者で52週時点において臨床的寛解だったのは、プラセボ投与群21.6%であったのに対し、vedolizumabの8週ごと投与群は39.0%(対プラセボp<0.001)、同4週ごと投与群は36.4%だった(同p=0.004)。
安全性に関する評価では、抗vedolizumab抗体が発現した患者は4.0%だった。vedolizumab投与群はプラセボ投与群と比べて、鼻咽頭炎の発生頻度が高かった。一方で頭痛と腹痛の発生頻度は低かった。またvedolizumabはプラセボと比較して、重篤な有害事象(24.4%対15.3%)、感染症(44.1%対40.2%)、重篤な感染症(5.5%対3.0%)の発生率が高かった。