超未熟児に対して集中治療を行うかどうかは議論の分かれるところであるが、大半は、在胎週数のみ(一般的に25週)に基づいて行われる。23~24週の場合は親の同意で開始、22週では“緩和ケア(comfort care)”が提供開始となるが、患児の予後に与える要因は単に在胎週数に限られるわけではなく他にもある。米国国立小児保健発達研究所の新生児臨床研究ネットワーク研究グループらは、どのような要因を考慮すべきかを、同ネットワークに登録する医療機関で生まれた乳児4,446例(在胎週数22~25週)を対象とした前向き研究で調査した。NEJM誌2008年4月17日号より。
4,446例乳児を対象に前向き研究
調査は、対象乳児4,446例の出生時または出生前に評価可能だった危険因子を、生存の可能性、重度神経発達障害を伴わない生存の可能性、18~22ヵ月時点での神経発達障害を伴わない生存の可能性と関連づけて評価する方法で行われた。
対象乳児のうち人工換気による集中治療を受けていたのは3,702例(83%)だった。
「ステロイド」「女児」「単胎」「出生体重」を加味すべき
18~22ヵ月時点で転帰を判定した結果、49%が死亡、61%が死亡あるいは重度障害、73%が死亡あるいは障害を有していた(n=4,192例)。
集中治療を受けた乳児を対象とする多変量解析の結果からは、死亡リスク、死亡または重度神経発達障害リスク、死亡またはすべての重度神経発達障害リスクの低下に関連する因子として、「出生前に副腎皮質ステロイド曝露」「女児」「単胎出生」「出生体重がより重い(100g加重ごと)」が明らかとなった。
これらリスク因子は、在胎週数が1週間延長した場合でも変わらない。また転帰良好の可能性が同程度と推定された場合、女児のほうが男児に比べて集中治療を受ける頻度が少ないといったことも明らかとなったが、人工換気を受けた乳児の転帰予測は、在胎週数だけよりもこれら因子を伴う場合のほうが優れており、研究グループは、在胎週数に加えて、これら4つの因子を考慮することが、集中治療を行った場合に良好な転帰が得られるかどうかのより優れた予測が可能となると結論づけた。
(武藤まき:医療ライター)