耐糖能異常がある人は歩行活動を増すことにより、心血管リスクが低下することが、9,000例超を対象に行った前向きコホート試験の結果、明らかになった。ベースライン時の歩数が1日2,000歩増加することで、心血管イベントリスクは約1割減少するという。英国・レスター大学のThomas Yates氏らが行った「NAVIGATOR」試験からの報告で、Lancet誌オンライン版2013年12月19日号で発表された。
心血管リスクが高い9,306例を平均6年間追跡
研究グループは2002年1月~2004年1月にかけて、40ヵ国の医療機関を通じ耐糖能異常患者9,306例について前向きコホート試験を行い、歩行活動と心血管イベントリスクとの関連を分析した。被験者には、心血管疾患(50歳以上の場合)または1つ以上の心血管リスク因子(55歳以上の場合)が認められた。
心血管イベントは、心血管死、非致死の脳卒中または心筋梗塞と定義した。追跡期間平均6年間で、歩数計によりベースライン時と12ヵ月後に歩行活動の測定を行った。
ベースライン時から1年後に2,000歩/日増加で心血管リスクは8%減少
延べ追跡期間4万5,211人年の間に発生した心血管疾患イベントは531件だった。ベースライン時の歩行計による歩数と12ヵ月時の歩数変化には、いずれも心血管疾患イベントリスクと逆相関が認められた。
具体的には、ベースライン時の歩数が1日2,000歩増加することにより、心血管イベント発生リスクは約10%低下した(2,000歩/日増加によるハザード比:0.90、95%信頼区間:0.84~0.96)。また、ベースライン時から12ヵ月後に、歩行活動が1日2,000歩増加または減少することにより、同リスクはそれぞれ8%減少または増大した(2,000歩/日の変化によるハザード比:0.92、同:0.86~0.99)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)