良質な有害事象報告は、システマティックレビューといえども半分程度/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/29

 

 システマティックレビューの有害事象報告の質は不十分であると、カナダ・アルバータ大学のLiliane Zorzela氏らが報告した。309本の有害事象を評価していたシステマティックレビューまたはメタ解析論文をシステマティックレビューした結果、その多くで有害事象の定義が不明瞭であったり、介入の有害事象を評価する際にリスク因子や追跡期間を考慮していないものがみられ、良好と呼べるレビュー論文は約半数であったという。BMJ誌オンライン版2014年1月8日号掲載の報告より。

主要アウトカムに有害事象を含むシステマティックレビュー論文を評価
 研究グループは本検討において、システマティックレビューにおける有害事象報告の質を調べ、有害性レビュー報告に関するガイドラインの必要性を確定することを目的とした。

 Cochrane Database of Systematic Reviews(CDSR)、Database of Abstracts of Reviews of Effects (DARE)をソースに、2008年1月~2011年4月に発表された、主要アウトカムに有害事象を含むシステマティックレビュー論文を検索した。

 有害事象の定義は、あらゆる医療介入と関連した有害反応、危害、または合併症などとした。なお、介入の安全性プロファイルの調査を主要目的に含んでいた論文も検討対象とした。

 各レビュー論文の有害事象報告の質を測定するために、37項目のリストを開発して評価を行った。

良質なレビュー論文の割合は0.56
 4,644本のレビュー論文が検索され、そのうち309本のシステマティックレビューまたはメタ解析論文が有害事象を主要評価に含んでいた。CDSRから選定された論文が13本、DAREからの論文が296本だった。

 2008年から2010-11年の間の報告の質の差は、短期間の評価であるが有意な差はみられなかった(p=0.079)。

 タイトルで有害事象に言及しているレビュー論文は半数に満たなかった(言及レビュー論文が占める割合:0.46、95%信頼区間[CI]:0.40~0.52)。

 DAREからの選定レビュー論文のうち、約3分の1(0.26、95%CI:0.22~0.31)は有害事象の定義が明確でなく、方法論を含む試験デザイン選択の指定がなされていなかった。

 約半数のレビュー論文(170本)が、介入の有害事象を評価する際に、患者のリスク因子や追跡期間を考慮していなかった。手術・手技などに関連した合併症のレビュー論文は67本あったが、介入者の有資格を報告していたのは4本のみであった。

 全体として、良質なレビュー論文の割合は0.56(95%CI:0.55~0.57)であった。各年でみると、2008年0.55(同:0.53~0.57)、2009年0.55(0.54~0.57)、2010-11年0.57(0.55~0.58)だった。

 これらの結果を踏まえて著者は、「システマティックレビューの有害事象報告を改善することは、介入をバランスよく評価するためのステップとして重要である」と述べている。

(武藤まき:医療ライター)