米国FDAの新薬承認申請で、初回申請が受理されなかった主な理由は、用量選択の不確実性や試験エンドポイントの不適切性などであることが明らかになった。こうしたあらかじめ回避できる理由などにより生じる承認の遅れは、中央値で435日にもなることも判明した。FDAのLeonard V. Sacks氏らが、302件の新薬承認申請について調べ明らかにした。JAMA誌2014年1月22・29日号掲載の報告より。
初回申請で承認は50%
申請の非受理はコスト高を招き、上市が遅れ、患者の新薬利用の遅れを招く。Sacks氏らは、FDAの文書などについてレビューを行い、2000年10月~2012年9月にFDAに申請した新規分子化合物(NME)のうち、初回申請で承認を受けなかった理由を分析した。
その結果、同期間中に申請を行った302件のうち、初回申請で承認を受けたのは151件(50%)、最終的に承認されたのは222件(73.5%)だった。
初回申請が受けられなかった151件のうち71件が、最終的な申請までに1つ以上の追加書類の提出を求められ、初回申請からの遅延は中央値で435日だった。
最終的非承認群の理由、有効性の欠如の割合が76.3%
初回非承認の理由としては、24件(15.9%)が用量選択に関する不確実性、20件(13.2%)が試験のエンドポイントが臨床的意義を適切に反映していない、20件(13.2%)が他のエンドポイントを評価した際の一貫性のない結果、17件(11.3%)が他の試験や他試験サイトと比較した際の一貫性のない結果、20件(13.2%)が標準的治療と比べて実際的有効性が低いことだった。
最終的に承認を受けたものと、受けなかったものを比べると、安全性の欠如の割合は承認群で52.1%に対し、非承認群で53.8%で同等だった(群間差:1.7ポイント、95%信頼区間[CI]:-14.86~18.05、p=0.87)。一方で、有効性の欠如は承認群で39.4%に対し、非承認群で76.3%と有意に高率だった(同:36.9ポイント、20.25~50.86、p<0.001)。
著者は、「検討により、新薬承認が遅れる理由として、至適用量の選択の誤り、エンドポイントの不適切性などが明らかとなった。これらは回避可能な点でもあり、本検討の結果を理解することは新薬の臨床開発の効率性を改善することにつながるであろう」とまとめている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)