急性心筋梗塞アウトカム、国家間で格差/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/12

 

 急性心筋梗塞の治療およびアウトカムについて、英国とスウェーデンの国家間の違いを検証した結果、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行率や使用頻度の高い薬物の傾向、30日死亡率などに大きな格差があることが、英国・ロンドン大学のSheng-Chia Chung氏らによる検討で明らかにされた。これまで急性心筋梗塞について、医療システムが異なる国家間での比較という観点が欠落していたという。著者は、「このような国家間の比較研究は、医療システムの改善と死亡抑制に役立つと思われる」とコメントしている。Lancet誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告より。

スウェーデンと英国を比較、主要アウトカム30日死亡率
 スウェーデンと英国の、急性心筋梗塞の治療およびアウトカムの傾向についての評価は、両国のアウトカムレジストリ(スウェーデン:SWEDEHEART、RIKS-HIA、英国:MINAP)の短期生存データを比較して行われた。レジストリには、両国の急性心筋梗塞に対する治療を提供している全病院のデータが登録されており、研究グループは、2004~2010年に登録された連続患者(スウェーデン:11万9,786例、英国:39万1,077例)を評価した。

 主要アウトカムは、入院後全死因30日死亡率であった。また、間接的なケースミックス標準化を用いて治療の有効性について比較した。

スウェーデン7.6%、英国10.5%、プライマリPCI実施率や薬物療法の傾向にも違いが
 分析の結果、30日死亡率は、スウェーデン7.6%(95%信頼区間[CI]:7.4~7.7%)、英国は10.5%(同:10.4~10.6%)であった。死亡率は臨床的にみたサブグループ(トロポニン値、ST部分上昇、年齢、性別、心拍数、収縮期血圧、糖尿病の病状、喫煙状況によって定義)においても、英国のほうが、より高率だった。

 治療の傾向では、スウェーデンでは英国と比較して、プライマリPCIの施行が早期に広範に行われており(59%対22%)、また退院時のβ遮断薬の使用頻度が高かった(89%対78%)。

 ケースミックス補正後の比較で、英国のスウェーデンに対する30日死亡率比は、1.37(95%CI:1.30~1.45)だった。これは過剰死亡1万1,263例(95%CI:9,620~1万2,827)に相当する。一方で、両国間の死亡率比は経年的には縮小している傾向がみられた(2004年:1.47、95%CI:1.38~1.58/2010年:1.20、1.12~1.29、p=0.01)。

(武藤まき:医療ライター)