TAVRは外科手術より死亡リスクが低い/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/17

 

 重度大動脈狭窄患者に対し、自己拡張型経カテーテル大動脈弁バイオプロテーゼを用いた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は、外科的大動脈弁置換術に比べ、1年死亡リスクが約5ポイント有意に低いことが示された。米国・マウントサイナイ医療センターのDavid H. Adams氏らが、795例を対象に行った無作為化比較試験の結果、報告した。先行研究でTAVRは、内科的治療と比較して生存を改善し、外科的大動脈弁置換術と1年生存率は同等だったが、神経学的イベント頻度が高いことが示されていた。今回、研究グループは、自己拡張型経カテーテル大動脈弁バイオプロテーゼを用いたTAVRの安全性と有効性について検討を行った。NEJM誌オンライン版2014年3月29日号掲載の報告より。

手術リスクの高い患者を対象に1年後総死亡率を比較
 研究グループは、2011年2月~2012年9月にかけて、米国内45ヵ所の医療機関を通じて、手術リスクが高い重度大動脈狭窄の患者795例を対象に試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方には自己拡張型経カテーテル大動脈弁バイオプロテーゼを用いたTAVRを、もう一方には外科的な大動脈弁置換術を行った。

 被験者の平均年齢は83.2歳、男性の割合は52.7%だった。

 主要エンドポイントは、1年後の全死因死亡率だった。

1年死亡率、TAVR群が14.2%、外科群が19.1%
 その結果1年後の総死亡率は、外科群が19.1%に対しTAVR群が14.2%と有意に低率で、絶対リスク減少幅は4.9ポイントだった(非劣性に関するp<0.001、優越性に関するp=0.04)。

 階層的検定において、弁狭窄に関する心エコー指数、機能的状態、生活の質(QOL)についても、TAVR群の非劣性が示された。

 探索的解析では、重大心血管・脳血管有害イベントの減少と、脳卒中リスクの非増大が示唆された。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 許 俊鋭( きょ しゅんえい ) 氏

東京都健康長寿医療センター センター長

J-CLEAR評議員