分化型甲状腺がんに新たな治療オプション/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/05/07

 

 進行性放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんに対するソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療は、無増悪生存期間を有意に改善することが明らかにされた。米国・ペンシルベニア大学アブラムソンがんセンターのMarcia S Brose氏らによる第III相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「DECISION」の結果で、有害事象はソラフェニブの既知の安全性プロファイルと一致していた。放射性ヨウ素131治療抵抗性の局所進行または転移性の分化型甲状腺がんを有する患者には、現時点では効果的な治療オプションがなく予後は不良とされる。著者は、「今回の結果は、ソラフェニブが同患者への新たな治療選択肢であることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。

18ヵ国77施設で経口ソラフェニブの有効性と安全性について検討
 試験は、経口ソラフェニブ投与(400mgを1日2回)の有効性と安全性を評価することを目的とし、18ヵ国77施設から被験者を登録して行われた。被験者の適格基準は、RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)評価で直近14ヵ月以内の増悪が認められた18歳以上の成人患者であること、CTまたはMRIにより1つ以上の病変が認められること(RECIST基準による)、全身状態はECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)基準で0~2、骨髄機能・肝機能・腎機能は保持、血清甲状腺刺激ホルモン値0.5mIU/L超などであった。

 主要エンドポイントは無増悪生存で、中央の独立レビュワーにより8週ごとに評価が行われた。なおプラセボ群の患者は、増悪したときはオープンラベルでソラフェニブに切り替えることが可能であった。

 また、腫瘍組織検体についてBRAFおよびRAS遺伝子の突然変異がないかが調べられ、ベースライン時と各受診時には血清チログロブリン値の測定が行われた。

無増悪生存期間の中央値、ソラフェニブ群10.8ヵ月とプラセボと比べ有意に延長
 2009年11月5日~2011年8月29日に、419例が1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要エンドポイントのintention-to-treat解析には、割り付けに不備があった2例を除く、ソラフェニブ群207例、プラセボ群210例の計417例が組み込まれた。

 結果、無増悪生存期間の中央値は、ソラフェニブ群は10.8ヵ月でプラセボ群5.8ヵ月と比べて有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.45~0.76、p<0.0001)。

 無増悪生存期間の改善は、事前規定のすべての臨床的および遺伝子バイオマーカーのサブグループ、また突然変異の有無にかかわらず認められた。全生存率は、両群間で有意差はみられなかったが(HR:0.80、p=0.14)、解析時点(2012年8月31日)で全生存期間の中央値は達成されていなかった。またプラセボ群でソラフェニブに切り替えが行われた被験者は150例(71.4%)だった。試験後もソラフェニブ群では20.3%が引き続き抗がん剤治療を受けていた(プラセボ群は8.6%)。奏効率はソラフェニブ群が12.2%、プラセボ群が0.5%であった(p<0.0001)。

 安全性の解析には、プラセボ群で投与に不備があった1例を除く、416例が組み込まれた。

 有害事象は、ソラフェニブ群98.6%(204/207例)、プラセボ群87.6%(183/209例)で発生が報告されたが、大部分は、グレード1または2の事象であった。ソラフェニブ群で最も発現頻度が高かった治療に関連する有害事象は、手足皮膚反応(76.3%)で、次いで下痢(68.6%)、脱毛(67.1%)そして皮疹/落屑(50.2%)だった。