慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染の未治療患者に対して、ペグインターフェロン(PEG-IFN)α-2aまたは2b+リバビリンにNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬のシメプレビルを加えた組み合わせ療法は、PEG-IFNα+リバビリン併用療法での既知の有害事象の増悪なしに、持続性ウイルス学的著効(SVR)を改善したことが、ドイツ・ハノーファー医科大学のMichael Manns氏らによる第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験QUEST-2で示された。HCV 1型感染患者ではPEG-IFNα-2aまたは2b+リバビリンが標準治療とされているが、SVR達成は限定的(北米約40%、西欧約50%)であった。Lancet誌オンライン版2014年6月4日号掲載の報告より。
14ヵ国76地点で無作為化二重盲検プラセボ対照試験
QUEST-2は、遺伝子型1型のHCVで未治療の患者に対する、PEG-IFNα-2aまたは2b+リバビリン+シメプレビルvs. プラセボの組み合わせ治療の有効性、安全性、忍容性を評価した試験で、14ヵ国(ヨーロッパ、北南米)76地点で行われた。
被験者は遺伝子型1型のサブタイプとホスト側の
IL28B遺伝子で層別化し2対1の割合で、シメプレビル(150mg、1日1回経口)+PEG-IFNα-2a(180μg、週1回皮下注)またはPEG-IFNα-2b(体重により50μg、80μg、100μg、120μg、150μg、週1回皮下注)+リバビリン(1,000~1,200mg/日または800~1,400mg/日、経口)、もしくはシメプレビルの代わりにプラセボを組み合わせた群に割り付け12週間治療を行い、その後、PEG-IFNα-2aまたは2b+リバビリンのみの治療を12週または36週間行った。
治療期間は治療反応ガイド療法の基準(4週時点でHCV RNAが25IU/mL未満で非検出または検出、12週時点で非検出など)に基づき、シメプレビル群は合計24週または48週だった。プラセボ群は48週間だった。
患者、試験担当関係者、スポンサーは治療割付を知らされなかった。
主要有効性エンドポイントは、治療計画終了後12週時点のSVRとした。解析はintention to treatにて行われた。
12週時点のSVR、シメプレビル81%、プラセボ群50%
SVR 12を達成したのは、シメプレビル群209/257例(81%)、プラセボ群67/134(50%)だった。両群の補正後差は32.2%(95%信頼区間[CI]:23.3~41.2、p<0.0001)だった。
有害事象の発生は、12週時点(246例[96%]vs. 130例[97%])、全治療(249例[97%]vs. 132例[99%])とも同等で、PEG-IFNα使用の影響はみられなかった。
12週時点で頻度が高かった共通の有害事象は、頭痛(95例[37%] vs. 45例[34%])、疲労感(89例[35%] vs. 52例[39%])、発熱(78例[30%] vs. 48例[36%])、インフルエンザ様疾患(66例[26%] vs. 34例[25%])だった。
シメプレビル群での頻度がプラセボ群よりも高かったのは、発疹(61例[24%] vs. 15例[11%])と光線過敏症(10例[4%] vs. 1例[<1%])だった。
貧血については、12週時点(35例[14%] vs. 21例[16%])、全治療期間(53例[21%] vs. 37例[28%])とも差は認められなかった。