脳卒中既往者の非心臓手術のタイミング/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/31

 

 脳卒中既往患者への非心臓手術の実施リスクについて、とくに発作後9ヵ月未満で行った場合は有害転帰と関連することが明らかにされた。また9ヵ月超でも、脳卒中を起こしていない患者と比べるとリスクは高く一定のままであることも示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のMads E. Jorgensen氏らが、同国住民コホートで待機的非心臓手術を受けた約48万件の手術データを後ろ向きに解析し報告したもので、著者は「今回の結果は、今後のガイドラインにおいて時間依存的リスクに注意を払う必要があることの根拠になると思われる」とまとめている。JAMA誌2014年7月16日号掲載の報告より。

脳卒中既往患者7,137例と非既往患者47万4,046例の手術リスクを検討

 脳卒中後に行う手術の時間的安全性および重要性を評価する検討は、2005~2011年のデンマーク全国コホート研究のデータを用いて行われた。コホートには、20歳以上で待機的非心臓手術を受けた48万1,183件の手術患者のデータが含まれていた。

 脳卒中から手術までの時間で層別化し、術後30日間の主要有害心血管イベント(MACE;虚血性脳卒中、急性心筋梗塞、心血管死など)と全死因死亡を、多変量ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比(OR)を算出して評価した。

 対象のうち、脳卒中既往患者は7,137例(1.5%)、非既往患者は47万4,046例であった。既往群は非既往群と比べて、平均年齢で16歳上回り(69.7歳vs. 53.7歳)、男性が多く(56.4%vs. 43.3%)、心血管系の治療歴と併存疾患を有する割合が高かった。

 また被験者が受けた手術回数の中央値は1回で、調査対象期間中に1回以上の手術を受けた人は、脳卒中既往群24.3%、非既往群21.4%であった。

脳卒中から手術までの期間が3ヵ月未満の患者の死亡ORは3.07

 MACEの粗発生率は、1,000患者当たり脳卒中既往群54.4件(95%信頼区間[CI]:49.1~59.9)に対し、非既往群は4.1件(同:3.9~4.2)だった。

 非既往群との比較による既往群のMACEのORは、脳卒中から手術までの期間が3ヵ月未満の患者では14.23(95%CI:11.61~17.45)、3~6ヵ月未満では4.85(同:3.32~7.08)、6~12ヵ月未満では3.04(同:2.13~4.34)、12ヵ月以上では2.47(同:2.07~2.95)であった。

 MACEリスク(脳卒中から手術までの期間が3ヵ月未満)は、手術が低リスク(OR:9.96、95%CI:5.49~18.07)、中程度リスク(同:17.12、13.68~21.42)でも、高リスク(同:2.97、0.98~9.01)と比べて同程度か高いことが認められた(相互作用のp=0.003)。

 同様の傾向は、30日死亡率でもみられた。脳卒中から手術までの期間が3ヵ月未満の患者の死亡ORは3.07(95%CI:2.30~4.09)、3~6ヵ月未満では1.97(同:1.22~3.19)、6~12ヵ月未満では1.45(同:0.95~2.20)、12ヵ月以上では1.46(同:1.21~1.77)であった。

 脳卒中のサブグループにおける3次回帰スプライン分析により、リスクは9ヵ月後で横ばいになることが裏付けられた。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 中川原 譲二( なかがわら じょうじ ) 氏

梅田脳・脊髄・神経クリニック 脳神経外科

J-CLEAR評議員