公共交通機関利用通勤者やアクティブ通勤者(徒歩や自転車を通勤の全部または一部に利用)は、自家用車通勤者と比べてBMIや体脂肪率が有意に低いことが明らかにされた。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のEllen Flint氏らが、英国住民ベースの断面調査の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。
英国住民の自家用車vs. 公共交通機関vs. 徒歩・自転車とBMI、体脂肪率を調査
研究グループは、アクティブ通勤が肥満の客観的な評価マーカーとなるかについて評価することで、アクティブな移動手段の推奨が肥満予防の有効な戦略となるのかを検討した。
英国世帯経時的研究(UKHLS)のwave2健康評価サブ検体データ(代表的検体1万5,777例)のうち、BMIデータについて7,534例、体脂肪データについて7,424例を分析した。
BMI分析検体(男性3,409例、女性4,125例)は、平均年齢男性44歳、女性43歳、男性の76%、女性の72%が自家用車通勤(大半が車)で、公共交通機関利用者は男性10%、女性11%、徒歩または自転車通勤者は14%、17%だった。
全体の平均BMI値は男性28、女性27。平均体脂肪率はそれぞれ23%、36%だった。男性の63%、女性の60%が職場の身体的活動度は非常に/かなり活発だと自己申告していた。また78%が、都市部の居住者だった。
公共交通機関またはアクティブ通勤者は、男女ともBMI値が有意に低い
多変量線形回帰分析の結果、自家用車通勤と比較して、公共交通機関利用またはアクティブ通勤は、男女ともに低BMI値の有意かつ独立した予測因子であることが示された。
完全補正後モデルにおいて、男性のBMI値は自家用車通勤者と比べて、公共交通機関利用通勤者では1.10(95%信頼区間[CI]:0.53~1.67)ポイント、アクティブ通勤者では0.97(同:0.40~1.55)ポイントそれぞれ低かった。また女性ではそれぞれ0.72(同:0.06~1.37)ポイント、0.87(同:0.36~0.87)ポイント低かった。
体脂肪率についても、効果の大きさ、有意性、傾向ともに同様の結果が示された。
またこれらの関連性は、移動手段と肥満との関連について仮定した交絡因子(年齢、持病、所得など)で補正後も減弱しなかった。以上の結果を踏まえて著者は、「さらなる長期追跡研究を行い、要因について調べる必要がある」とまとめている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)