心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/19

 

 心房細動合併の心不全患者に対し、β遮断薬は死亡率の低下に結び付かないことが、英国・バーミンガム大学のDipak Kotecha氏らが行ったメタ解析の結果、明らかにされた。著者は、「今回の所見は、β遮断薬をその他の心拍コントロール治療に優先して用いるべきではないことを示すものであり、同患者の予後を改善する標準療法として推奨されないことが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年9月2日号掲載の報告より。

β遮断薬に関する10試験、心不全患者1万9,000例弱についてメタ解析
 研究グループは、心不全の患者を対象に行った、10件のβ遮断薬に関する無作為化プラセボ対照試験(被験者総数1万8,254例)の患者個別データを基にメタ解析を行った。

 心不全患者で、心房細動を合併する場合と洞調律の場合について、β遮断薬の効果を比較した。主要評価項目は、全死亡率。平均追跡期間は1.5年(SD 1.1年)だった。

洞調律心不全患者の死亡率は27%減、心房細動合併患者では低下せず
 被験者のうち洞調律の心不全患者は76%(1万3,946例)で、心房細動を合併する心不全患者は17%(3,066例)だった。

 補正前死亡率は、洞調律心不全患者が16%(2,237例)、心房細動合併心不全患者は21%(633例)だった。

 β遮断薬による治療は、洞調律心不全患者の全死亡率を約27%低下した(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.67~0.80、p<0.001)。一方で、心房細動合併心不全患者については、死亡率の低下は認められなかった(同:0.97、0.83~1.14、p=0.73、ベースライン時の心房細動の有無との相互作用に関するp=0.002)。

 心房細動を合併する患者についてサブグループ分析を行ったところ、年齢、性別、左室駆出率、NYHA心機能分類、心拍数、ベースライン時の薬物治療にかかわらず、同様の結果が得られた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 小田倉 弘典( おだくら ひろのり ) 氏

土橋内科医院 院長

J-CLEAR推薦コメンテーター