急性冠症候群に対する新たなLp-PLA2阻害薬ダラプラジブ(darapladib)について、プラセボと比較した長期有効性の結果が報告された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMichelle L. O’Donoghue氏らによる第III相多施設共同の無作為化二重盲検プラセボ対照試験SOLID-TIMI 52の結果で、3年時の主要冠動脈イベントの発生リスクは、プラセボと有意な差は示されなかった。Lp-PLA2は、炎症を介したアテローム発生に関与する酵素で、ダラプラジブはLp-PLA2を選択的に阻害する経口薬として開発が進められてきた。JAMA誌2014年9月10日号掲載の報告より。
1万3,026例を対象にダラプラジブ群vs. プラセボ群
試験は、2009年12月7日~2011年10月28日に、36ヵ国868施設で、ACS(ST非上昇型またはST上昇型の心筋梗塞)を発症した入院30日以内の患者1万3,026例を対象に行われた。
被験者は、ガイドライン推奨治療に追加して、1日1回のダラプラジブ(160mg)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。追跡期間は2009年12月7日~2013年12月6日で、中央値2.5年だった。
主要エンドポイント(主要冠動脈イベント)は、冠動脈性心疾患(CHD)死、心筋梗塞または心筋虚血による緊急冠血行再建術の複合とし、Kaplan-Meier法にて3年時の累積発生率を評価した。
3年時の主要冠動脈イベントの発生、ハザード比1.00
結果、3年時の主要冠動脈イベント発生は、ダラプラジブ群903例(16.3%)、プラセボ群910例(15.6%)だった(ハザード比[HR]:1.00、95%信頼区間[CI]:0.91~1.09、p=0.93)。
心血管死亡・心筋梗塞または脳卒中の複合発生率は、それぞれ824例(15.0%)、838例(15.0%)だった(同:0.99、0.90~1.09、p=0.78)。
主要エンドポイントの各エンドポイント、その他副次エンドポイント、また全死因死亡(ダラプラジブ群371例・7.3%vs. プラセボ群395例・7.1%、HR:0.94、95%CI:0.82~1.08、p=0.40)についても、両群間の違いはみられなかった。
なお、ダラプラジブ群のほうがプラセボ群よりも、臭いに対する懸念(11.5%対2.5%)、下痢(10.6%対5.6%)の報告例が多い傾向がみられた。
(武藤まき:医療ライター)