ROS1遺伝子再構成陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)の投与は、奏効率は72%、期間中央値は17.6ヵ月であった。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAlice T. Shaw氏らが、患者50例について行った試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「クリゾチニブは、ROS1遺伝子再構成陽性NSCLCに対し、顕著な奏効を示した」とまとめている。また、本検討で新たに2種を含む7種のクリゾチニブが奏効する遺伝子サブグループが判明した。NEJM誌オンライン版2014年9月27日号掲載の報告より。
クリゾチニブ250mgを1日2回投与
研究グループは、クリゾチニブの第I相臨床試験の拡大コホートとして、
ROS1遺伝子再構成陽性進行NSCLC患者50例を対象に試験を行った。
被験者に対し、クリゾチニブ250mgを1日2回経口投与し、安全性や薬物動態、治療反応性などを調べた。
また、
ROS1融合パートナー遺伝子について、次世代シークエンシングまたは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応分析法により特定した。
無増悪生存期間の中央値は19ヵ月
その結果、客観的奏効率は72%(95%信頼区間:58~84%)で、完全奏効が3例、部分寛解が33例だった。
奏効期間の中央値は17.6ヵ月、無増悪生存期間の中央値は19.2ヵ月だった。なお25例(50%)の被験者については、無増悪期間の追跡が継続していた。
また、30の腫瘍について分析を行った結果、新たに見つかった2種を含む7種の
ROS1融合パートナーが特定された。
なお、
ROS1遺伝子再構成のタイプとクリゾチニブへの臨床反応性との間に、関連性は見つからなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)