肥満外科手術、中高年男性の長期生存を延長/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2015/01/23

 

 重症肥満患者で胃バイパス術などの肥満外科手術を受けた人は受けなかった人と比べて、長期死亡率が有意に低いことが報告された。米国・ダーラム退役軍人医療センターのDavid E. Arterburn氏らが、肥満外科手術を受けた患者2,500例について行った後ろ向き多地域適合対照コホート試験の結果、1年時点では死亡率に有意差は示されなかったが、5年、10年時点の全死因死亡率は、肥満外科手術群が有意に低かったことが判明した。これまでの検討で肥満外科手術が重症肥満患者の生存を改善するというエビデンスは蓄積されてきたが、中高年(veteran)における有益性のエビデンスは示されていなかったという。著者は、「今回の結果は若い世代、それも女性が大半を占める集団で示された肥満外科手術の有益性を、さらに後押しするものとなった」とまとめている。JAMA誌2015年1月6日号掲載の報告より。

肥満外科手術を受けた2,500例の長期生存を評価
 試験は、2000~2011年にかけて全米の退役軍人医療センターで肥満外科手術を受けた患者2,500例を特定し、長期生存について、年齢、性別などで適合した対照群7,462例と比較した。生存比較はKaplan-Meier法を用いて推算し、層別化・補正後Cox回帰分析を用いて評価した。

 肥満外科手術術式の内訳は、胃バイパス術74%、スリーブ状胃切除術15%、調節性胃バンディング術10%、その他1%であった。

 主要アウトカムは全死因死亡率で、2013年まで追跡評価した。

1年時点は有意差なし、5年、10年時点で肥満外科手術群は有意に延長
 肥満外科手術群2,500例は平均年齢52歳、平均BMI値47、適合対照群7,462例は同53歳、46と両群の特性は同等であった。

 14年間の試験終了時点で、死亡は肥満外科手術群263例(平均追跡期間6.9年)、適合対照群1,277例(同6.6年)であった。

 Kaplan-Meier算出の推定死亡率(手術群vs. 適合対照群)は、1年時点2.4%vs. 1.7%であったが、5年時点は6.4%vs. 10.4%、また10年時点は13.8%vs. 23.9%であった。

 補正後分析の結果、両群間の全死亡率はフォローアップ初年度には有意差は示されなかったが(ハザード比[HR]:1.28、95%信頼区間[CI]:0.98~1.68)、1~5年(同:0.45、0.36~0.56)、5~14年(同:0.47、0.39~0.58)は肥満外科手術群で死亡が有意に低下した。

 両群間の中間時点(1年超~5年)および長期(5年超)の関連性は、糖尿病有無、性別、手術時期で定義したサブグループすべてにわたっており、有意差は認められなかった。

(武藤まき:医療ライター)