米国外科学会の手術の質改善プログラム(National Surgical Quality Improvement Program:NSQIP)への参加有無により、術後合併症や死亡率などのアウトカムに有意な差はみられないことが判明した。米国・メイヨークリニックのDavid A. Etzioni氏らが、35万件弱の入院データを分析し、明らかにした。JAMA誌2015年2月3日号掲載の報告より。
待機的一般・血管手術後のアウトカムを比較
Etzioni氏らは、米国の大学病院などが所属するUniversity HealthSystem Consortiumの2009年1月~2013年7月のデータを基に、待機的一般・血管手術について調査を行った。NSQIPに参加する病院としない病院で、術後アウトカムの変化の有無について分析を行った。
主要評価項目は、待機的一般・血管手術後の入院中の補正後合併症や死亡率だった。
術後院内合併症や死亡率に有意差なし
分析の対象としたのは、113ヵ所の大学病院における入院34万5,357件だった。そのうち50.1%にあたる17万2,882件がNSQIP参加病院分だった。
対象入院患者の61.5%が女性で、平均年齢は55.7歳だった。最もよく行われていた手術は、ヘルニア修復術(15.7%)、肥満外科手術(10.5%)、乳房切除術(9.7%)、胆嚢摘出術(9.0%)だった。
患者リスクや手術の種類、病院の治療成績や時間的傾向で補正後、NSQIP参加病院と非参加病院で、入院中の術後合併症や重度合併症の発生率(それぞれ補正後オッズ比:1.00、0.98)、死亡率(同:1.04)のいずれについても、有意差はみられなかった。
研究グループはこの結果について、「術後アウトカム報告システムは、質改善をもたらす明白な仕組みとはならないことを示すものだ」とまとめている。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)