ピーナッツアレルギー高リスクの小児は、早期よりピーナッツに曝露されたほうが、同アレルギー発症頻度が有意に低減することが、英国キングス・カレッジ・ロンドンのGeorge Du Toit氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。西欧諸国では、ピーナッツアレルギーの子供の有病率は、過去10年間で2倍になっており、またアフリカやアジアでも出現してきているという。研究グループは、アレルギーリスクが高い乳児でピーナッツアレルギーを発症させないための最も効果的な戦略を確立するために、ピーナッツの摂取と回避の戦略を検討した。NEJM誌2015年2月26日号(オンライン版2015年2月23日)掲載の報告より。
乳児640例をSPT陽性・陰性に分類し、無作為化試験
試験は、重症の湿疹、卵アレルギーのいずれかまたは両方を有する640例の乳児を対象とした。無作為化時点の被験児の年齢は、生後4ヵ月以上、11ヵ月未満であった。
皮膚プリックテスト(SPT)でピーナッツに対する感受性を調べ、SPT陰性(測定できる膨疹がなかった)コホート(542例)と、SPT陽性(直径1~4mmの膨疹が認められた)コホート(98例)に分類し、60ヵ月齢までピーナッツを摂取する群と回避する群に無作為に割り付けて評価が行われた。
主要アウトカムは、各コホートにおける、60ヵ月齢時点でのピーナッツアレルギー発症者の割合とした。
ピーナッツ摂取群のほうがアレルギー発症が有意に低下
intention-to-treatに含まれたSPT陰性コホートは530例であった。そのうち、60ヵ月齢時のピーナッツアレルギー有病率は、回避群13.7%に対し摂取群1.9%であった(p<0.001)。
一方、intention-to-treatに含まれたSPT陽性コホート98例についても、有病率は回避群35.3%、摂取群10.6%であった(p=0.004)。
主に摂取群では、ピーナッツ特異的IgG4抗体値の上昇がみられ、回避群ではピーナッツ特異的IgE抗体価の上昇がみられた。
ピーナッツアレルギーは、SPTにおいて大きな膨疹がみられたこと、ピーナッツ特異的IgG4:IgEの率比の低下と関連していた。
著者は結果を踏まえて、「ピーナッツの早期曝露はアレルギーリスクの高い小児での発症頻度を有意に低下し、ピーナッツに対する免疫応答を変化させた」とまとめている。