CADへのエベロリムスPCI vs.CABG~アジアでのRCT/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/04/16

 

 多枝冠動脈疾患の患者へのエベロリムス溶出ステントによる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、長期アウトカムが不良であることが明らかにされた。韓国・蔚山大学校のSeung-Jung Park氏らが、880例の患者について行った無作為化非劣性試験の結果、報告した。これまで多くのPCI対CABG比較試験が行われているが、第2世代薬剤溶出ステントを用いた検討は行われていなかった。NEJM誌2015年3月26日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。

死亡、心筋梗塞、標的血管血行再建術のいずれかの発生率を比較

 研究グループは、2008~2013年にかけて、東アジア27ヵ所の医療機関を通じて、多枝冠動脈疾患の患者を対象に、エベロリムス溶出ステントによるPCIとCABGについて無作為化非劣性試験を行った。

 主要エンドポイントは、無作為化2年時点での死亡、心筋梗塞、標的血管血行再建術の複合だった。

 試験は当初、1,776例の患者を無作為化するよう計画されたが、880例の患者(PCI群438例、CABG群442例)が登録された時点で、登録の遅延により試験は早期に終了となった。

2年後のイベント発生率、PCI群で3.1%ポイント高率

 結果、2年時点で、主要複合評価イベントが発生したのは、CABG群で7.9%に対し、PCI群は11.0%で、両群間の絶対リスク差は3.1ポイントで有意差はみられなかった(95%信頼区間[CI]:-0.8~6.9、非劣性に関するp=0.32)。

 中央値4.6年の追跡期間中、主要複合評価エンドポイントが発生したのは、CABG群10.6%に対し、PCI群は15.3%の発生であった(ハザード比:1.47、95%CI:1.01~2.13、p=0.04)。

 安全性に関する複合評価イベントの、死亡、心筋梗塞、脳卒中の発生率については、両群で同等だった。一方、再度の血行再建術の発生率は、PCI群11.0%に対しCABG群は5.4%(p=0.003)、自然発症心筋梗塞の発生率はそれぞれ4.3%と1.6%(p=0.02)と、いずれもPCI群で有意に高率だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

専門家はこう見る

コメンテーター : 中川 義久( なかがわ よしひさ ) 氏

滋賀医科大学 循環器内科 教授

J-CLEAR評議員