HPVワクチン、男児にも接種するメリット/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/29

 

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を女児だけでなく男児へも接種をすることのメリットについて、オランダ・VU大学メディカルセンターのJohannes A Bogaards氏らが、ベイズ法によるエビデンス統合解析を行い報告した。女児への接種で男性は間接的な利益を得られるが、現状の接種率60%ではHPV関連がん、とくに肛門がんのリスクは残ったままで、女児への接種率が90%に高まり、男児への接種も行うことで肛門がんの予防がもたらされ、男性同性愛者へのHPV予防に寄与することが示唆されたという。BMJ誌オンライン版2015年5月12日号掲載の報告より。

男性のがん負担が軽減するかを評価
 研究グループは本検討で、HPVワクチンを女児とともに男児へも接種した場合、男性のがん予防の負担が軽減するかを調べた。

 ベイズ法エビデンス統合解析を用いて、HPV16または18ワクチンの肛門がん、陰茎がん、口咽頭がんへの影響を、異性愛および同性愛の男性について評価した。

 被験者はオランダの一般住民で、12歳男児をHPVワクチンプログラムに組み込み、質調整生存年(QALY)と予防に必要なワクチン接種数(NNV)を主要評価項目とした。

女児への接種率90%超で、男性のHPV関連がん66%減少
 オランダにおけるHPVワクチンプログラム実施前の、HPV関連がんによる男性1,000人当たりのQALY損失は14.9(95%信頼区間[CI]:12.2~18.1)だった。この負担は、女児へのワクチン接種が現状の60%で推移した場合は、37%(同:28~48%)の減少であると予測された。

 この場合、男性のがんを1例予防するのに必要な男児へのNNVは795例(95%CI:660~987例)と予測された。がんの種別でみると、肛門がん予防に必要なNNVは2,162例、陰茎がん3,486例、口咽頭がん1,975例だった。

 男性のHPV関連がんの負担は、女児へのワクチン接種率が90%を超えれば66%(同:53~80%)の減少につながると考えられた。その場合の男児へのNNVは1,735例(同:1,240~2,900例)で、がんの種別にみると、2,593例、2万9,107例、6,484例であった。

(武藤まき:医療ライター)