米国・マサチューセッツ総合病院のLee Chang氏らは、最近承認されたハイリスク医療機器の心血管デバイスについて、米国FDAに報告された臨床試験の特徴および安全性、有効性に関する結果を調べ、ピアレビュー論文の同報告と比較した。その結果、臨床試験が未発表であるものが多く、発表されたものについても、試験集団、主要エンドポイントや試験結果が、FDAに提出されたデータとはかなり異なる可能性があることを報告した。これまでに、新規上市の医薬品については、臨床試験データにバイアスをかけた論文の発表が報告されている。医療機器については、臨床試験がどれほど選択的に報告されているのか明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2015年6月10日号掲載の報告。
FDA文書と刊行論文の内容を比較
研究グループは、一般公開されているFDAデータベースを検索し、2000年1月1日~2010年12月31日に上市されたすべての心血管デバイスについて調べた。市販前承認文書にリストアップされている各試験について、Medlineを用いて該当する刊行論文を検索し評価した。
主要評価項目は、FDA文書および刊行論文における臨床試験の特徴、主要エンドポイント、安全性および有効性の結果とした。
主要エンドポイントの結果、同一35%、かなり異なる11%
検索対象期間中にFDAから市販前承認を受けた心血管デバイスは106個あった。
これらデバイスのFDA市販前承認申請書に含まれていた試験は177件、そのうち2013年1月1日時点で発表されていたのは86件(49%)であった。この86件において報告されていた心血管デバイスは60個であった。FDA承認からピアレビュー誌発表までの平均期間は6.5ヵ月(範囲:-4.8年~7.5年)であり、86件のうち22件(26%)において、試験登録被験者数がFDAサマリーと刊行論文で異なっていた。
また、FDA文書では152の主要エンドポイントが特定できたが、刊行論文ではそのうち3つが副次評価項目に分類(labeled)されており、未分類(unlabeled)43(28%)、不明(not found)が15(10%)あった。
主要エンドポイントの結果は、同一(identical)であったものが69(35%)、同程度(similar)が35(23%)で、かなり異なる17(11%)、比較不可31(20%)であった。