ハイリスク医療機器の臨床試験の質・量、市販前後で変化/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/08/25

 

 米国FDAの市販前承認(PMA)を受け上市したハイリスク医療機器の臨床試験は、市販前と市販後では量・質ともに変化がみられ、承認後3~5年で市販後試験を完了していたのは約13%であったことなどが明らかにされた。イェール大学医学部のVinay K. Rathi氏らが、2010~2011年に承認されたハイリスク(生命補助・維持または不当なリスクをもたらしうる)医療機器について調べ、報告した。JAMA誌2015年8月11日号掲載の報告より。

2010~2011年にPMAで上市したハイリスク医療機器を評価
 研究グループは、製品ライフサイクルにおける、ハイリスク医療機器の臨床エビデンス生成の特徴を明らかにする検討を行った。2014年10月時点でClinicalTrials.govを検索して、2010~2011年にPMAで上市したハイリスク医療機器のすべての臨床試験を特定し、FDA文書についても可能な限り入手した。

 試験をタイプ別(FDA承認のための試験[市販前試験重視]、FDAが要請した市販後臨床試験[PAS]、メーカー/研究者主導型)、市販前または市販後試験それぞれの状況(完了、進行中、中止/不明)、試験デザイン(試験の登録、比較対照、主要有効性エンドポイントの追跡期間など)で特徴付けて評価した。

試験の質・量が市販前と市販後で変化
 2010~2011年にPMAで上市したハイリスク医療機器は28個あり、それらに関する286件の臨床試験を特定した。そのうち市販前試験が82件(28.7%)、市販後試験は204件(71.3%)であった。

 全試験286件をタイプ別に分類すると、市販前試験非重視タイプは52件(18.2%)、市販前試験重視は30件(10.5%)、PASが33件(11.5%)、FDA非要請PAS(メーカー/研究者主導型市販後試験)は171件(59.8%)であった。

 試験状況は、PASを要請されていた33件のうち完了は6件(18.2%)、メーカー/研究者主導型市販後試験171件のうち完了は20件(11.7%)であった。

 また、市販後調査が特定できなかった装置は5個(17.9%)、3件以下であった装置は13個(46.4%)あった。

 被験者登録中央値は、市販前試験非重視タイプの試験で65例(四分位範囲[IQR]:25~111)、市販前試験重視タイプで241例(147~415)、PASでは222例(119~640)、メーカー/研究者主導型市販後試験タイプは250例(60~800)であった。

 全試験のうち約半分が比較対照を設定していなかった。市販前試験重視タイプで13/30件(43.3%)、市販後試験完了タイプ16/26件(61.5%)、市販後試験継続中タイプ70/153例(45.8%)であった。

 主要有効性エンドポイント追跡期間中央値は、市販前試験重視タイプで3.0ヵ月(IQR:3.0~12.0)、市販後試験完了タイプ9.0ヵ月(0.3~12.0)、市販後試験継続中タイプは12.0ヵ月(7.0~24.0)であった。

 なお、市販前試験非重視タイプ52件を除外した209件で試験の特徴付けを行った場合、市販前試験重視タイプの試験は30件(14.4%)、市販後試験完了タイプは26件(12.4%)、市販後試験進行中タイプは153件(73.2%)であった。

 著者は、「ハイリスク医療機器の安全性や有効性を明らかにする臨床エビデンスの生成は、主として市販前に試験されていた状況から、製品ライフサイクルを通しての継続的な試験にシフトしている」と述べている。

専門家はこう見る

コメンテーター : 折笠 秀樹( おりがさ ひでき ) 氏

統計数理研究所 大学統計教員育成センター 特任教授

滋賀大学 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 特任教授

J-CLEAR評議員