過体重/肥満(BMI 27.0以上)の2型糖尿病患者へのリラグルチド皮下注3.0mg(商品名:ビクトーザ)1日1回投与は、プラセボと比較して56週の間、有意な体重減少が認められ、5%以上または10%超の減量達成者の割合も有意に多かったことが示された。英国・レスター大学のMelanie J. Davies 氏らが、二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、報告した。体重の5~10%減少は、2型糖尿病および糖尿病関連の合併症を改善することが示唆されているが、現時点では、安全性、有効性が認められた体重コントロール薬はない。著者は今回の結果を踏まえて、さらなる検討を行い、より長期的に有効性、安全性を評価する必要があるとまとめている。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告。
リラグルチド3.0mg、1.8mg、プラセボを投与し体重減少について比較
試験は2011年6月~2013年1月にかけて9ヵ国(フランス、ドイツ、イスラエル、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国[イングランド/スコットランド]、米国)の126施設で被験者を募り行われた。
被験者の適格基準は、BMI 27.0以上、18歳以上、経口血糖降下薬0~3種類(メトホルミン、チアゾリジンジオン系薬、SU薬)服用、体重安定、HbA1c 7.0~10.0%であった。
1,361例がスクリーニングを受け、試験適格であった846例が3群に無作為に割り付けられた。各群の被験者は、12週間のoff-drugフォローアップ後、56週間にわたり、1日1回の(1)リラグルチド皮下注3.0mg投与(423例)、(2)同1.8mg投与(211例)、(3)プラセボ投与(212例)の介入を受けた。また全員が食事制限(総エネルギー摂取量を500kcal/日減らすよう推奨)と運動プログラム(早歩きを週150分)を受けた。
主要エンドポイントは3つで、56週時点の相対的な体重変化、ベースライン体重より5%以上減少した被験者の割合、または同10%超減少した被験者の割合であった。
3.0mg群は、10%超体重減少者についても有意な差
被験者のベースライン体重は、リラグルチド3.0mg群105.7kg、同1.8mg群105.8kg、プラセボ群106.5kgであった。また、各群の平均年齢は55.0/54.9/54.7歳、女性被験者割合が48.0/48.8/54.2%、平均BMIは37.1/37.0/37.4、糖尿病罹病期間は7.5/7.4/6.7年などであった。
56週間の体重減少は、リラグルチド3.0mg群が6.0%(6.4kg)、1.8mg群4.7%(5.0kg)、プラセボ群2.0%(2.2kg)であった。対プラセボ群の推定差はリラグルチド3.0mg群-4.00%(95%信頼区間[CI]:-5.10~-2.90%、p<0.001)、同1.8mg群-2.71%(同:-4.00~-1.42%、p<0.001)であった。
5%以上体重減少者の割合は、リラグルチド3.0mg群54.3%、1.8mg群40.4%、プラセボ群21.4%であった。同様に対プラセボ群の推定差は、32.9%(95%CI:24.6~41.2%、p<0.001)、19.0%(同:9.1~28.8%、p<0.001)であった。
10%超体重減少者の割合は、それぞれ25.2%、15.9%、6.7%で、同様に対プラセボ群の推定差は、18.5%(95%CI:12.7~24.4%、p<0.001)、9.3%(同:2.7~15.8%、p=0.006)であった。
安全性に関しては、胃腸障害の報告が、プラセボ群(39.2%)と比較してリラグルチド3.0mg群(65.2%)、同1.8mg群(56.2%)で多かった。膵炎の報告例はなかった。